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幼子の密会

真夏の昼間、背の低い双子がとうきび畑の中へこっそり入っていく。 「海…、こっちこっち!」 「待ってよ空ぁ…、早いよ!」 海が空に情けなく答えると、空がシーッと静かにのポーズを取る。慌てて口を両手で塞ぐと、遠くの方から母親の声がする。 「海!空!全くどこ行ったのかしら…、あの子達本当に隠れるの上手なんだから…。」 畑の影の下、手を繋いで身を寄せる二人はクスクスと笑う。 「ねぇ海、僕は海が大好きだよ。」 「僕も空が大好き。」 「ずっと一緒にいようね。」 「うん、ずっと一緒。」 二人は軽く触れるように唇を重ね合う。まだ幼い二人のくちづけの真似事は不器用だが、お互いの心は十二分に籠っているようだった。

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