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熱中症?
夏の熱気が籠りまくった体育館の中、俺は汗を拭いながら未だ元気にボールを追いかけ走り回っている先輩を見つめていた。
荒い息遣いとバッシュの音が聞こえる。ボーッとしていた俺と目が合うと、先輩はただ反らさずニコッと爽やかな笑顔を見せて俺のところへ走ってきた。そんな先輩の僅かな仕草にドキッとする。
「なんだ、そんなにボーッと見てきて。」
「いや、先輩やっぱすげぇなって。そんなに汗まみれで動きまくって…熱中症なんないでくださいよ。」
「いやぁ、つい夢中で…あ、そのスポドリちょっと飲ませて~。」
「あ、まだ良いって言ってな…」
口の端から少しだけ漏れる汗なのかも分からない水滴が首筋を伝う。なんとも言えない高揚感が俺を掻き立てて顔が熱くなる。
慌ててしゃがむと先輩が心配して話しかけてくる。
「だ、大丈夫か?ちょっと飲んじゃったけど、お前も水分補給しろよ、ほら。」
「…うす。」
「…いや、飲まないのか?」
「いや、ちょっと…ハズくなって…って、こんなガキみたいなこと言ってどうしたんすかね~、ははは…は…」
「…そ、そんなこと言われると、こっちも恥ずかしくなんじゃん…。」
「何その反応、ずっる…。」
蝉よりも心臓が煩いなんて初めてだ。
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