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ヒモ?いえいえ、嫁です。

夜十時、クタクタになりながら玄関の鍵をガチャリと開ける。 今日で何連勤目なのか、数えようとするだけで虫酸が走る。 扉を開けると中から欠伸をしながら向かえるやつがいた。 「おかえりぃ~、今日も残業だったの?」 「いつもの事だ。はぁ、疲れた。」 シャンプー以外の手入れがされていない目元まで隠れたモサモサの頭髪にまばらに延びきった髭、皺だらけのスウェットにTシャツ、果たしていつから着ているのかわからない薄手のパーカーを羽織ったコイツは俺の部屋に居候している男『アツシ』だ。 俺の部屋に居候する代わりに家事を全て任せている。 「お湯張ってるから先風呂入りな、ご飯も暖めておくからさ。」 「あぁ、そうする。あとこれ、今日も美味かった。」 「お、今日も残さず食べてる~、やったね。今日の晩御飯はツトムの好きな鯖の竜田揚げ、明日の弁当にも取っといてるよ。」 「よっしゃ、すぐ風呂入ってくる。」 俺がワイシャツを脱ぐとアツシが俺の背中を撫でながら話しかけた。 「爪痕、まだ残ってんね。」 「誰かさんの噛み跡もまだあるんじゃねぇか?」 「誰かさんが一回でやめてくれないからだと思うけどなぁ…。」 「また先週と同じことしてやろうか?」 俺がそう言うと、アツシは慌てて俺を脱衣所に押し込んでしまった。 早く美味い晩飯の為に風呂を済ませてしまおう。

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