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思い残し

半年前、俺の恋人が死んだ。 死因は心臓発作、突然の死だった。 アイツはいつもなんとかなる精神でアッパラパーな所があるが、俺の事にはいつも真剣に取り組んでいた奴だった。 女でもねぇのに『ただ俺に一度褒められたから』とだけの理由で肩まで延びた髪は猫毛で撫でやすかった。何時も眠そうなタレ目はいつだって俺の方を向いていた。俺より年上なのに華奢な体で子供のように高い体温で、寝る時はいつも腕の中にいた。 そんな奴が死んで俺は泣いた。しかし俺はそんな自分を後悔した。いや、後悔するべきじゃないが、その理由は今仏壇の上にある菓子を食ってる奴だ。 「今日も元気に食っちゃ寝食っちゃ寝してんな、早く成仏しろよ。」 「そんなこと言うなよぉ、俺が死んだときはあんなに泣いてくれたのに…。」 「そりゃ恋人が死ねば誰だって泣くだろうがアホ。」 「だってぇ、俺はキョーちゃんとまだイチャイチャしたりないんだもん。」 「だとしてもいつまで居るつもりだよ。」 「キョーちゃんが死ぬまで!」 「悪霊かよ。」 「恋人に向かってなんて事を~って…ンム!?」 俺がなぜか触れる幽霊である騒がしいコイツを引き寄せて口を塞いでやると嬉しいのかジタバタ暴れている。 あぁ、コイツは昔からこういう奴だったな。 「それより、今日休みだから、どっか行くか?」 「え、行く行く!久しぶりにショッピングモールいこ!」 ま、俺が死ぬまでならいいか。

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