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仰せのままに

助手というのは実に多忙なものだ。 スケジュールの管理や上司のモチベーションをあげたりなど…。 かくいう今も機嫌を損ねてしまった甘党な上司のために有名ケーキ店へ足を運んでいたところだ。 やっと買えたケーキを持って事務所へ入ると、使い込まれたソファの上で五才児のように膝を抱えている成人男性が目に入る。 「まだ根に持ってるんですか?犯人にからかわれたこと。」 「当たり前だ!恋人が居たこと無さそうな性格などと罵ったんだぞ!」 「でも実際居たこと無かったんでしょ?子供っぽいし、好き嫌い多いし、わがままだし。」 テーブルに紅茶とケーキを置きながら問うと、苦虫を噛んだような顔をする。 「…お前も、私を馬鹿にするのか…、どうせ私は事件を解決することしか脳がない寂しい探偵だ…!」 そう言って上司はやけになってケーキを頬張っている。 子供のようにがっついているせいで頬にクリームがついてしまった。 それを指で救いとって舐める。 「やっぱり有名店はクリームのコクが違いますね。あと、貴方の恋人は俺以外は務まらないと思うんで、安心してください。」 「何が安心だ、犯人に私が誘拐された時人一倍焦っていたくせに。」 俺の上司兼恋人は嬉しそうに紅茶を飲んでいた。

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