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間違えからはじまる
遂に……遂にっ……!!悪魔召喚の儀式を完成させることができるっ!!
ここまで永い年月が経った…。
いつか…、いつか私を馬鹿にした者共へ復讐を果たす為に今まで泥水を啜って生きてきた。死ぬよりも辛い苦しみを与えて命乞いをする様を見て嘲笑ってやるんだ!!
それにしても以外だな、お祖父様の書斎にあった日記に悪魔召喚について詳しく書いているとは…。まぁ、そんなことはどうでもいい…、早速召喚しようじゃないか。
「邪悪なる魔物よ、我が願いに応えたまえ!エルービ·ラバ·イオヤ、エルービ·ラバ·イオヤ!!」
魔方陣の中心に赤黒い煙が立ち込め、一気に晴れるとそこには悪魔にしては容姿端麗で男の私でさえ魅了する色気を纏った男が此方を不適な笑みで見つめていた。
『我を召喚したのは貴様か?』
「あぁそうだ。悪魔よ、この私を馬鹿にした愚かな者共に苦しみを与えたまえ!!」
『……貴様は、我をなんだと思っている?我はインキュバス、人間に淫夢を見せ子を孕ませる悪魔だ。まあ、我は女よりも男の方が好みなのだが…。』
「な、なん…だと…。ではお祖父様は…!」
『あぁ、貴様どこかで見たことがあると思えば…あの時の馬鹿の孫か。お前の先祖は己の性欲を満たすためサキュバスを召喚しようとして、間違えて我を召喚したのだ。』
「そ、そんな…。」
そんな馬鹿な、では…俺は奴らに復讐できないじゃないか…。
『そういえば、貴様の先祖と契約を交わしたんだったな。「見逃してやる代わりに孫を好きにしていい」と…。約束通り、貴様を好きにさせてもらうぞ。』
「は……?」
悪魔は俺を女のように軽々と抱き抱える。
真っ赤な瞳と口唇から見える牙がギラリと蝋燭の光を反射する。
『今夜は共に、楽しもうじゃないか。』
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