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発熱のため休み
39’8℃。
布団に挟まれ汗をかいているのに寒気がする。
不覚にも風邪を引いてしまった。
会社には一報をいれたし今日は大人しく寝ていよう。
こんなとき、親のありがたみを痛感する。
夕方、ボヤける意識の中インターホンが鳴る。
よろめきながらも玄関に向かい扉を開くと会社の同僚タカセが立っていた。
「よ、ハンダ。」
タカセは憎たらしくも俺のライバルでどっちが優秀か良く競争をして向こうが少しでも勝てばすぐに煽ってくる。
俺はそいつが嫌いだった。
そんな嫌いな奴でも風邪を引いた寂しさには勝てず、安心してしまう。
「なんだ、おまえか。なんの用だ?」
「何の用って、風邪引いたんだから見舞いに来たに決まってんだろ。争い相手がいないと寂しいもんなの。ほら、中にいれて。」
「ちょっ!下ろせ!」
「そんなフラフラで何が出来るんですか~?」
そう言って俺を抱えて中に入りベッドに無理やり押し込んだ。
どうせ何言っても言うことを聞かないだろうから大人しく横になる。
台所からタカセの鼻唄と何かを刻んでいる音が聞こえる。
いつの間に寝ていたのか目を覚ますと旨そうな匂いがしてくる。
起き上がるとタカセがお盆に何かを乗せて持ってくる。
「お、丁度起きたか~。タカセ様特製たまご粥を作ってやったぞ。…体起こせっか?」
「あぁ…。」
「はい、じゃあ食わせてやんよ。あーん」
「そんなことしなくても一人で食える。」
タカセからお盆ごとぶん取って粥を口に運んだ。
味は旨かった。
朝から何も食べていなかったためか手が止まらない。
そんな俺を見てタカセはニンマリ笑った。
「なんだ、気持ち悪い顔して。」
「いやぁ?そんなに美味しいのか~と思って。」
「…。」
「ん?どした?」
「…、旨い、よ…。ありがとな…。」
恥ずかしながらも礼は言わねばならんと小さな声だがそう言うと、更に笑顔が酷くなる。
「んへ、どういたしまして。早く直してくれよ。」
「言われなくても分かってる。1日遅れた分を直ぐに取り戻して見せる。」
粥を食べ薬を飲むと急に眠くなる。
「片付けしてやるから寝ちまいな。」
「あぁ…、タカセ。」
「ん?」
「ありがとう、な…。」
そのまま俺は眠りについてしまった。
「んなもん好きな奴のためだったらお安いご用だっての。」
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