3 / 29

第3話 一年越しの歓迎会

「それでは!犬塚のサークル参加を祝して、カンパーイ!!」 馬渕先輩がジョッキを持って高らかに宣言した サークルメンバー揃っての初めての飲み会 一年越しの歓迎会…とりあえず集まりたいから口実にされた感があるけど あ、オレはもちろん彗ちゃんの隣を陣取った 「香澄、あんまり飲みすぎるなよ」 「わかってるわかってる!ほどほどに、だろ?」 熊田先輩があらかじめ釘を刺しているけど もうすでに一杯目を飲み干して次を注文している 「馬渕先輩ペースはや」 「ほんまやわぁ。あんなんすぐ潰れてまうやろ」 この関西弁は橋間絢兎先輩 通称うさ先輩  ハイボールを傾けながら、お通しででたナッツを嗜んでいらっしゃる 「うさ先輩飲み慣れてる感じすね」 「んやー?そうでもないで、わいもにゃーちゃんわんちゃんと同い年やしー?」 なーにゃーちゃん?と彗ちゃんと肩を組む 猫田だからにゃーちゃん 犬塚だからわんちゃん、だそうだ 「まぁ、同い年ではあるけど、お前はなんだかんだ隠れて酒飲んでたろ」 そう返した彗ちゃんは甘めのカクテルをちびちびとのんでいる アルコールきついのは苦手って言ってたし 両手でガラス持ってる彗ちゃん可愛いがすぎる 「んー?そうやったっけなー。忘れてもうたわ、なはは」 「うさ先輩、飲んでたんすね」 「そういうわんちゃんは日本酒のんでるやん。」 「こいつの家系ザルなんだよ。」 彗ちゃんにジト目でみられる 「いやー日本酒っていろんなのがあるからハマっちゃって あと、親父たちとは違ってオレはそれなりに酔うよ?」 「嘘つけ。キャンプのときオレが寝てからいつも晩酌してるくせに」 「あれ、バレてた?ていうか起こしちゃってたんだ。ごめんね。」 「べつに」 彗ちゃんがあんまり好んで飲まないから 寝た後ならとおもって晩酌していたのだ 夜空を見ながらの酒は案外心地良かったりする 「えーいいなーわいも今度キャンプ着いてってええ?わんちゃんと星見ながら晩酌してみたいわぁ。色々話も聞きたいし?」 肩を組まれて最後の方は耳元でつぶやかれた オレと彗ちゃんを交互に見てニマニマしている 色々とはいったい…? それからしばらく他愛のない話題で盛り上がりつつ お酒とご飯を楽しんだ 「へー、一緒にキャンプしてるんやから、テント一個でもええやん、べつに」 「そーなんすよ!オレせっかく大きめのテント準備したのに、彗ちゃんってばぜったいに一緒には寝ないって頑ななんですよ」 「にゃーちゃんもいけずやなぁ。きっとわんちゃんのテント(意味深)が寂しがってるんやろなぁ」 「うさ、お前いま変なこと考えてるだろ」 「べつにー?他意はないで?おおきいテント立てたのに1人はさみしいやろなぁて、なぁわんちゃん?」 「??? まぁ、さみしいっすね」 「うはー!やっぱさみしいやんな!?」 「バカ、答えなくていいんだよ」 にまにましたうさ先輩に同意を求められて答えたら彗ちゃんに怒られた なんで?! 「お!なんか楽しそうな話してるな!みんなでキャンプもいいな」 赤ら顔の馬渕先輩が肩を組んで参戦してきた 「うわっ酒くさっ?!先輩!どれだけ飲んだんすか?!」 「んー?わからん!」 さっきまで馬渕先輩が座っていた席に目をやるとジョッキが散乱していて 熊田先輩は諦めたのか一品料理を食べながら酒を飲んでいる っていうかいつの間にか彗ちゃんも熊田先輩の隣に移動してるし 先輩が移動してくるの見てて逃げたなー どこのキャンプ場が立地がいいとか、星空はどこが綺麗だったとか色々と話をしてくれた その間どんどんお酒を追加注文してハイペースで煽ってテンションがおかしくなっていたが… 「まぶさん、とりあえず水飲んどき?調子乗っとると気持ち悪なるで?」 「あーい。さんきゅーうさー。」 そういって受け取った水を一気飲みする 「よし!さめた!  お、犬塚は日本酒か! 俺が酌してやろうではないか!」 「ありがとうございます?」 ご機嫌な馬渕先輩におちょこを渡され 酒をつがれる ぐいっと飲み干す お!行ける口だな? とさらに機嫌が良くなる 「いやいや、そんなんで酔い覚めるわけないやろ! っていうか、後輩にダル絡みしとんやないわ」 「む、そうか。確かに、じゃあ今度はみんなで一緒に飲もう!盃を交わすのだ!」 がははと自分の持っていたグラスにも酒を注ぎはじめる 「そういうわけちゃうんやけど…あーもうめんどいわぁ。そらくまさんが手を焼くわけや…」 はぁと呆れているうさ先輩 そんなことはお構いなしの酔っ払い先輩は うさ先輩のグラスにも問答無用で酒を注いで はやく乾杯するぞ!といっている 俺は平気だけどこのペースで飲んでて大丈夫なんだろうか、この先輩… 「かんぱーい!!ほら!かんぱいだぞ!飲め飲め!」 「はぁ、しゃーないな。とりあえずそれ飲んだら一回休みやで」 「そうっすね。一回なんか食べた方がいいと思います」 3人ぐいっと酒を煽った 満足そうな馬渕先輩に 辛いわーと顔を顰めるうさ先輩 反応はそれぞれ てか、彗ちゃんの観察が全然できてない!! ちらりと目をやると さっきより顔が赤くなっている彗ちゃんと目が合った んでもってなぜか不機嫌そうなジト目になっている なんで!?なんかやらかした?! 焦って彗ちゃんの方へ移動しようとしたが 「すっ彗ちゃ「こらこらーどこ行く気だーまだまだ話は終わってないぞー!」ちょ、馬渕先輩!はなしてくださいって!」 立ち上がった瞬間 馬渕先輩に腰に纏わりつかれた 「なははは!まぶさんうっざ!後輩に嫌われんでー」 「うさ先輩も笑ってないで助けてほしいんすけど!」 「な!?そんなことないよな!盃を交わした仲だ!簡単に引き裂かれてなるものかー!」 「ちょっと!マジで意味不明なこと言ってないではなしてくださいよ!!あ゛ーもー!」 これがダル絡みってやつか うさ先輩もツボに入って笑い転げてるし… なんとか引き剥がそうとするが 酔っ払いのくせに力が異様に強い 「んんー離さんぞー!俺はこのままお前と一緒になるんだー!なんなら、キスしてやってもいい!!!」 「はい?!?! マージで意味わかんないっすから!変なこと言わないでください!! ちょっ?!顔近づけてこないでくださいよ?! ってかさっきより酒くさ!! 完全に出来上がってるだろこの人!!」 本気でまだキスするつもりなのかという勢いで顔を近づけてくる馬渕先輩 あー最悪だ、この酔っ払い先輩にファーストキスを…しかも酒くさいとか… と思ってげんなりして半分諦めモードに入った

ともだちにシェアしよう!