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第8話 夜風に当たって

1人で外に出て一番近くのコンビニへ向かう 風が冷たくて気持ちいい 「ふぅ…」 夜も深く暗闇の中で街灯がぼんやりと道を照らしている 「オレの知らない一年か…」 色々あって、当たり前だよね なのに、オレってばあんなふうに責めちゃった… でも、熊田先輩っていうのはショックが大きいな 落ち着いてて大人の余裕があって面倒見がいい…頭もいいし、、 勝てる気がしない いや、勝つとか負けるとかじゃないんだけど 「オレなんかいなくても…」 先輩が彗ちゃんのことを幸せにしてくれるんじゃ オレが来ちゃったから2人の関係を壊したとかなら… 「邪魔者はこっち…だったりして」 あーだめな方に思考が向いてる とぼとぼと歩いているとコンビニの明かりが近づいてきた 「はぁ…」 一息ついてぱんぱんと冷えた両手で頬を叩く 「あーーやめやめ、オレらしくない。ちゃんと話そう。」 オレの知らない彗ちゃんのことを、教えてくれるかわからないけど、できる限り教えてもらおう もしも…もしもそれが受け入れがたくても、彗ちゃんの一部として全部ちゃんと、いつかは抱きしめられるように まずは知るところからはじめよう 「とりあえず、飲み物買って帰ろうかな」 コンビニに入り2人分の飲み物を買って、来た道を折り返す そういえば、ちゃんとお風呂入ったかな身体冷やしてないといいけど 1人残してきてしまった彗ちゃんが心配になって早足になる 行きよりも足取りは軽い 「はっ…はっ……ふぅ」 乱れた呼吸を整えるために深呼吸しドアノブに手をかける 「ただいま」

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