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第9話 すれ違ったらまた話そう※
「ただいま」
中から返事はない
寝ちゃったかな…
お風呂場の方からシャンプーの匂いがするからお風呂には入ってくれたみたいだ
リビングに続く扉をゆっくりと開けると
オレの服を着てソファの上で膝を抱えて寝ている彗ちゃんがいた
もしかして、待っててくれたのかな
「毛布、取ってこないと」
物音を立てないようにソファの横を通り過ぎ
ベッドの上の毛布を彗ちゃんにかける
お風呂に上がってすぐにここにきたのか
髪の毛が少し湿っている
「もう、ちゃんと乾かさないと」
彗ちゃんの前に座り込んで小さい雫がついた前髪を撫でる
タオルをとってくるために立ち上がろうと体を動かした瞬間
トサッ
「え…」
両肩を押されてバランスを崩した
彗ちゃんに押し倒されたみたいだ
「いってて…すい、ちゃん?大丈夫?」
「こはく……ごめんな」
「なに、、が…?!っちょ彗ちゃん?!
どこ触ってる、んむっ…ちゅ…ふっぁ」
馬乗りになった状態の彗ちゃんを押し返そうとした手を避けられて片手で肩を押し込まれた
そして、もう片方の手が、オレの、、下半身に…
しかも、なぜかキスまで…
「す、いちゃっ…んっ ぁっ…だめっ、ま、待って…んん」
「ごめん…ごめん、すき、、こはく…ちゅ…んっ」
さっきからうわ言みたいにごめんごめんと繰り返し言いながらオレの口を塞ぐ
下半身に伸びた手はいつの間にかガチャガチャとベルトを外そうと動いている
あ、それは、、まずいっ
もうだいぶ反応しちゃってるし
なんとか止めようと体をよじるが気持ちよくて力がうまく入らない
「っ…ぅあっ?!」
ついにベルトが外されてしまい、彗ちゃんの手が直接下着の中に入ってくる
「こはく、ここ、濡れてる」
「んんっ!!??っとにだめっすぃちゃっ」
先端から溢れた液をぐりぐりと塗り込まれて
身体が思い切りびくつく
そんなオレをみて彗ちゃんは握った手の動きを速めた
「?!?!やっぁ、それっだ、めぇ でちゃっ」
「ん、いいよ…気持ちよくなって」
そう言って何度もキスをしてくる
だめだ、気持ちいい…
こんなの気持ち良すぎるよ
「んっ あぁだ、めっっも、でるぅ…っっ!!」
「出していいよ…」
「はっん あああ゛あ゛っっ!!」
ドクンと彗ちゃんの手の中でオレのものが跳ねた
お腹のあたりに生暖かい感触がする
彗ちゃんの手にもついてしまったようで
じっとそれを見つめている
「よかった…いっぱいでた」
「ぅ…はぁはぁ…」
荒くなった息を整えていたら
突然彗ちゃんがオレのお腹に散らばったそれを指で掬って舐めた
「す、彗ちゃん?!?!なななななにしてるの?!?」
びっくりして彗ちゃんの腕を掴み口から離す
「のんじゃだめだよ?!ペッてして!ぺって!」
「……ごくん」
「?!?!?!」
彗ちゃんの喉が動いて、オレの出したものを飲み込んでしまった
「…ん、虎狛の濃くて、あったかい」
「んんんん!?!?!?!」
えっっろい!!!
トロンとして恍惚とした表情の彗ちゃん
こ、こんなの知らない!!!!
ぼっと顔に熱が集まって、ついさっき欲を吐き出したばかりの下腹部がまたずくんと脈打つ
それをみた彗ちゃんが少し思案して
徐に下着を脱いだ
「まだ、いけそうだな」
そう言ってまた馬乗りになり露わになった自分の下半身をオレに擦り付けてきた
肌が直に触れ合って熱が伝わってくる
オレはというとすでにさっき以上の硬さを取り戻していた
それを触って確認した彗ちゃんが少し腰を上げてゆっくりとその上に
え、もしかして、、
「だめ!!!」
今までの急展開で固まっていた身体をなんとか起こして彗ちゃんを止めるがまた押し倒そうと反抗してくる
「だめっ彗ちゃん!お願いだから一回止まって!」
身体を掴んでオレも必死に抵抗する
ふと、彗ちゃんの力が抜け下を向いて震え出した
「…んで…」
「…彗ちゃん?」
「なんでっ!気持ちよくしてやるからっ…だからっ!なぁお願い、これで これで最後にするからぁっ」
いつになく必死な声色
ふと起こした身体に水滴が落ちてきて
彗ちゃんの顔を覗き込むと瞳が涙でいっぱいになっていた
「…ぅぅ……ごめっ こはく ごめんっ」
「すいちゃん…泣かないで、ね?落ち着いて、謝らなくていいから」
足の上に乗ったままの彗ちゃんを抱きしめて背中をさする
「深呼吸して ほら、ゆっくりでいいから」
「すぅ……ふぅ…」
まだ少ししゃくりあげてはいるがだいぶ呼吸が落ち着いてきた
「大丈夫?落ち着いた?」
「…ん。」
「よかった。ほんと、びっくりしたよ」
ほっと一息ついて一層力強く彗ちゃんを抱きしめる
お互い落ち着いたところでさっきの言葉について聞くことにした
「ところで彗ちゃん
最後
ってどういうこと?」
抱きしめた彗ちゃんが少し体をゆらし
もごもごと言いづらそうに話し始めた
「……俺がこんなだから、愛想尽かされて
もう一緒にいられなくなると思って…
だからさっき1人で出て行ったんだろ…バカな俺のことなんか忘れるために頭冷やしに…」
「……彗ちゃんのばか」
「ごめん…やっぱりこんなの愛想も尽きるよな」
彗ちゃんが肩に顔を埋める
はぁとため息をついたらびくっと肩を揺らした
「ぅ…ごめっ」
「彗ちゃん。あのね、オレは全然愛想なんてつきてないし、なんならまだまだ溢れそうなくらい彗ちゃんのこと大好きだよ」
「………」
「オレたち一緒にいない間にコミュニケーションが下手になったみたいだね。前は彗ちゃんのことなんでもわかってるつもりだったんだけどなぁ」
「…うん」
小さい頃から一緒にいる幼馴染だから彗ちゃんのことは全部知ってると思ってた
多分、彗ちゃんも同じだろう
だから、あの時だって…
いや、過去は過去だ
ブンブンと頭を振る
「だからさ、彗ちゃん。これからはもっと色々話そうね。なんでもないこともぜーんぶ。」
「ぜんぶ?」
「そう!だって、オレたち両思いってことでしょ?晴れて恋人ってことで!
きっと楽しいことだけじゃないだろうし、こうやってすれ違ったりすることもあると思うからさ。その度にいーーっぱい話して2人で乗り越えていこ!」
「…両思い
恋人…虎狛と俺が」
「そうだよ!」
「いいのか?俺、もう…」
綺麗じゃない…なんて口籠る彗ちゃん
「いーいーのー!過去よりもこれから先の方が大切だから!!そりゃ欲を言えば初めては全部欲しかったけど…」
「ぅ…」
「だから!ここから先の初めては全部オレが貰うから!!あと!オレの方が良かったって思わせる!!絶対!」
今回はオレばっかり気持ちよくさせられちゃったけど、今度は彗ちゃんも一緒に
「ふはっ 虎狛…お前、、童貞のくせに自信満々だな」
「あう…それは、そうだけど」
「いや、ごめん…」
「ううん!気にしないで。オレ頑張るから!」
「ん、期待してる」
お互い調子が戻ってきた感じがする
よかった。本当に。
「ねぇ、彗ちゃん。」
「なんだよ」
「大好きだよ。これまでも、これからもずっと!」
「…俺も、、」
「んー?聞こえないなー」
「くっ…俺も!虎狛が!好きだ!!」
「へへへ」
「このっ調子に乗りやがって………」
ちゅ
「すいちゃん?!」
ニヤニヤしていたら頬に不意打ちを喰らった
ふんっと言って立ち上がりオレのお腹を指差す
「さっさと風呂入ってそれ流してこい」
そういえば、服がはだけたままだった
それとお腹に、べったりと……
「っっ!!!あらってきます!!!」
慌てて立ち上がり風呂場へ向かう
「あっそうだ!彗ちゃん!髪の毛ちゃんと乾かしてベッドで待ってて!今日こそお喋りしながら一緒に寝ようね!」
「はいはい。待ってるから早く行けって」
「はーい!」
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