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第13話 不穏なお誘い(飲酒は二十歳になってから)

サークルに入ってしばらくは先輩たちやうさに誘われてキャンプやイベントに同行したりと 基本的には好きにしていいとは言われたがキャンプや周辺の地理に関しては素人だったたからいろいろと教えてもらいながらサークルに慣れていった あと、2人の先輩やうさともだいぶ打ち解けて来たと思う 馬渕先輩には地域の天体観測イベントに何回か連れて行ってもらったし うさにはキャンプの基礎知識なんかを一緒について行って教えてもらった まぁ、うさの趣味にも巻き込まれたけども…曰く今後の人生において絶対に役に立つからとのことだったが。き、キスの仕方とか体位だとか、その、色々と… ちなみに熊田先輩には一番お世話になっている。同じ学科だったこともあってサークル活動外でも講義選択のアドバイスをもらったり試験のヤマを教えてもらったりした。 今もサークル室で講義で少しわかりにくかったところをおしえてもらっている。 「えっと、ここがわからなくて…」 「あー、ここな。あの教授何言ってるかわかりにくいよな。えーと、確かこれは教科書じゃなくて配布されてるプリント見た方がわかりやすいんだ。えっと、ここだな」 「ほんとだ。こっちのが細かく説明書いてますね。あ、これもプリントの方がわかりやすいかも…むしろこっちあれば講義聞いてなくてもいいのでは…」 「ははっ、そうだろ。何言ってるかわからないけど、プリントだけはめちゃくちゃ丁寧に作ってるからむしろこっち見てたほうが効率良かったりする」 「ふっ。ほんとにそうかもしれないです」 向かい合って座っている熊田先輩から楽しそうな笑い声がして 俺もつられてわらう プリントから顔を上げるとこちらをじっと見ていた先輩と目があった にこりと笑った先輩の手が前髪に伸びてきて さっとかきあげられおでこが露わになる 「あの…なんですか。あんまりジロジロ見ないでもらえるとありがたいんですけど…」 あんまりにもまっすぐこちらを見てくるもんだから恥ずかしくてパシッと手を払ってしまった 「あ、いや、悪い。猫田の目綺麗なのに前髪伸ばして隠してるの勿体無いなと思ってさ。」 「いや、綺麗とかじゃ…色素薄くて気持ち悪いってよく言われるし…」 「そんなことないよ。俺は綺麗だって思うし。それにみんながみんなそうだっわけじゃないだろ」 そうだ。虎狛はいつもこの目が好きだって言ってくれていた。小さい頃はたまに2人きりのときに見せてって言われておでこをくっつけて来てたっけか… 「そう、ですね…1人、いましたね。」 思い出して頬が緩む 「ほらやっぱりいただろ?あ、もしかして、元恋人とかか?そういえば、橋間ともそんな話してたよな」 「いや、恋人とかではなく…それに男、ですし。というか、うさとの会話聞いてたんですか?!」 そうだ。うさがBL漫画を布教してくるのは、俺が男である虎狛のことを今でも未練がましく想っていることを吐かされたからだ。 幼馴染ものや遠距離もの、悲恋からのハッピーエンドをメインでお薦めされていたのはそのせいだったりする 他の人からしてみれば、男が男になんて… 「男同士とかそういうのは関係ないんじゃないか?」 「え」 「好きになっちゃったら仕方ないだろ。周りのこと気にして自分に嘘はつかなくていいと思うけどな、俺は」 そういう熊田先輩の目はどこか寂しさを孕んでいた もしかしたら… 「…先輩も」 「ん?あぁ、まぁ、そういうことだ。両想いの猫田と違ってこっちは圧倒的に片想いなんだけどな」 アピールはしてるけど、これっぽっちも気づかれないし、羨ましいよと苦笑いする 先輩ほどの好物件からアピールされて靡かないなんて… 「というか!俺も別に両想いとかじゃないですから!そもそも、もう会うこともないだろうし…」 俺はきっと忘れられないだろうけど、虎狛はそのうち違う人と… 嫌、だけど…けど、それがきっとあいつの幸せのためだったんだ 邪魔にならないように黙って離れたんだから… でも、もし、また会えたら、、伝えてしまってもいいんだろうか 「……猫田  もしよければ、想い人が近くにいない男と振り向いてもらえない男で酒でも飲まないか?」 「え、でも、俺まだ未成年」 「ま、宅飲みでちょっとだけ、な?ダメか?」 熊田先輩の貴重な上目遣いを喰らってしまい 言葉に詰まる。 「うぐ…少しだけなら…付き合い、ます」 「よし!まぁ、俺が酒飲んで猫田と話したいだけだから、無理にとは言わないさ」 いや、有無を言わさない誘い方しただろ… 「じゃあ、この範囲終わったら、うちで男子会といきますか!」 「あ、はい」 連絡しとかないとなと言ってスマホを操作する先輩 家にでも連絡しているのだろうか。あれ、でも先輩一人暮らしって言ってたような… 急遽熊田先輩宅で男子会が開かれることとなった そう、この時熊田先輩の雰囲気がいつもと違うことに気がついていれば…いや、それは結果論だし今言っても仕方ないか その頃   ピロン〜♩ 「お、勇からか!きっと今日の夜の集合時間だな…………え…」 スマホの画面には思った通り熊田勇の名前 しかし、用件は思っていたものと違った 『悪い。猫田と宅飲みすることになったから、今日の約束はまた今度な』 「なんで、猫田と…」 だって、今日はお前の…

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