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第28話 揺らめく炎に照らされて
部屋に戻って少し休んだあとは周辺を散策した
普段都会にいるとなかなか触れる機会のない豊かな自然に囲まれて癒される
あちこち気になったみたいではしゃいでた彗ちゃんもかわいかったし…うへへ
一通り見終わり戻る前に受付によって夕飯の準備をお願いした
これからこのグランピングの楽しみの一つであるBBQなのだ!!
「うわ!見てこれすごいよ!」
「おお。ほんとだな!」
ずらっと並べられた食材をみて2人とも大興奮だ
お肉はもちろんのことおっきなエビやら貝やら普段自分たちでしているキャンプではお目にかかることのない豪華な食材たち。
火おこしをしてもらいその後は自分たちの好きなように好きなものを焼いては食べBBQを楽しんだ
ほんと、奮発して良かったなぁ
食事を終える頃には2人とも大満足でお腹いっぱいになっていた
「「ごちそうさまでした!!」」
BBQの後はキャンプファイアーを2人で囲みながら夜の自然を堪能する
「美味しかったぁ。グランピング、ほんとさいこーだね」
「だな。こんなの知ったら普段のキャンプじゃ満足できなくなりそうだ…」
「あははっ、どうだろうね。でも、オレは彗ちゃんがいてくれたらどんなのでも楽しいからいいかなぁ」
「っ……あっそ……まぁ、俺も虎狛がいてくれたら……」
照れてそっぽを向きボソボソ言っている姿をみて笑みが溢れる
なんだか今日は本当にデレが多いなぁ。あー可愛すぎる。
「それにキャンプご飯担当としては次のご飯は今日のに負けないようにしなきゃってモチベーション上がったしね!」
「……楽しみにしてる」
「うん!!任せて!」
「そういや、今日は酒飲まないのか?」
「へっ?!え、あ、なんで?」
「なんでってさっき冷蔵庫の中に入ってる酒みてニヤニヤしてただろ」
「……見てたんだ」
そう、このグランピング施設、冷蔵庫の中のドリンクが無料なのだ
さっきのBBQではソフトドリンクを頂いたのだがなんとアルコール類も完備されていた
「で、でも、彗ちゃんといるし、オレだけっていうのは…」
普段なら彗ちゃんが寝た後にこっそり飲んでいたのはもうバレてはいるがオレ1人で楽しむのもなんだかなと思っていた
「別に今更気にしなくてもいいだろ。それにせっかくなんだし満喫しないと、な?」
「いいの?」
「だから気にするなって、あ、なら、俺も一緒に飲もうかな」
「ええっ?!?!」
「なんだよ」
「だ、だだだって、彗ちゃん、お酒、酔っ?!?!」
そう、彗ちゃんはお酒(度数低めのカクテル)数杯で泥酔できるくらい弱い。だから、あまり好んで飲んだりはしない、のだけれど
「今日はお前の言うこと聞いてやるって約束だしさ、虎狛のやりたいことに付き合ってもいいかなって思った………だけなんだけど?」
正直願ってもない申し出だ。こうやって彗ちゃんと2人でキャンプファイアを囲みながらお酒を飲めるなんて最高のシチュエーション逃したくはない
「ほ、ほんとにいいの?」
「ん。いいって言ってるだろ」
「じゃ、じゃあ!お言葉に甘えて!お酒とってくるね!あっ!彗ちゃんは甘いやつがいいよね?」
「虎狛が飲むやつがいい」
パチパチと音を立て揺らめく幻想的な炎に照らされる彗ちゃんが優しく微笑む
「んぐっ!!」
急ぎ足で冷蔵庫に向かい扉から漏れてくる冷気に顔を当てる
なっななななんだこの甘い雰囲気!!??彗ちゃんがいつもより可愛く見える!!いやいつも可愛いけど!!グランピング効果?!?!やばいやばいやばい!!なんかオレの方がくらくらしてぼーっとしちゃってる気がする…雰囲気酔いってやつ?!?!
「…い、おい。虎狛?」
「へっ?うわぁ?!す、彗ちゃん!いつのまに?!」
後ろから声をかけられて飛び上がってしまい
不思議そうな彗ちゃんがこちらを怪訝そうな目で見つめている
「遅いから見に来た」
「ご、ごめん。どれにしようか悩んでて…」
「ふーん……なら、これとかいいんじゃないか?」
そう言って日本酒の瓶を手に取る
ラベルにはスパークリング日本酒と書かれている
「あ、それ珍しいなって思ってたやつだ。甘口みたいだし彗ちゃんも飲みやすいかも」
「ん、じゃあこれにする」
そう言って瓶を持ち外に戻っていく彗ちゃん
日本酒なんて普段アルコールが強くて飲まないはずなのに…オレの好みに合わせて選んでくれたんだ……
「やっぱ今日の彗ちゃん心臓に悪い…」
さっきよりも暑くほてった顔を冷蔵庫に突っ込む
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