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「帰り、どっかのSAでお土産買ってこうぜ!」 「いいよ。」 「やった!何にしようかな〜。肉系がいいよな!」 「うん。」 「あ!調味料という手もあるか。」 「料理するの俺だろ。勘弁してくれ。」 「はははっ!バレたか〜。」 帰りの車内は開放感でいつもより会話が多くなる。後は、無事に帰り着いて報酬を貰えばお終いだ。ハヤトは特に行きの車中で寝通しだったから、いつもより元気な気がする。俺は、ぼちぼち。特にいつもと変わらない。こんな事を言うと「体力バカ」と言われるから言わないが。 「あのさ。」 「なに?」 お土産の候補でも調べていたのかスマホを見ていたハヤトが、顔をあげる。こちらを向いたのか視線を感じる。 「キスしたい。」 「!…車停めてからにしてくれ。」 「分かった。」 動揺がハンドル操作に出る所だった。突拍子も無い事を言い出すのはお互い様ではあるが、相手から仕掛けられるとびっくりする。 「急にどうした?」 「別に。」 「そう。」 それっきり、ハヤトは静かになりサイドウィンドウから空を見上げている。さっきの住職の話が何か引っかかったのだろうか。俺たちは裏社会に居ながら、お互いの死をお互いに恐れている。仕事の頻度も儲けも少ないのに『運び屋』という職業を選んだのも、そのためだ。少なくとも俺はハヤトが怪我をするのも嫌だ。包帯だらけで病院のベッドに沈んでいたハヤトを思い出すだけで、冷や汗が出る。もう二度と見たくない。前方の信号が黄色から赤になり、緩やかにブレーキを踏む。 「…止まったぞ。」 「!!」 びっくりした顔でこちらを見たハヤトに、内心、笑いが堪えられない。それが伝わったのか、少しむくれたハヤトが乗り出して来て、俺の頬に口付けする。 「口じゃなくていいのか?」 「続きは帰ってからにする。」 我慢出来ず「ふはっ」と吹き出すと、肩にグーパンが入る。 「あーあ、昨日事務所でヤらなきゃ帰ってシたのになぁ。」 「今日もヤれるだろ。俺は大丈夫。」 「はぁっ?!無理無理無理むりっ!!」 「もう中でイけるだろ?」 「そういう問題じゃねぇよ!!絶対ヤらないからな!」 「はいはい。」 「『はい』は1回っ!!」 はははっと、どちらとも無く笑いが零れる。ようやく元気を取り戻してくれたようで何よりだ。 「お土産、味噌にしない?有名なんだって。」

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