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第4話 鳥籠の楽園

父も母も美しく。 とても淫らだった。 子供達の目の前でも平然と番った。 いけないこと、だと何となく理解はしていて、その度違う部屋へ逃げた。 兄は気にしていなかったけれど。 でもそこで、兄と両親がしていることの真似をした。 兄も美しくて。 父や母のように淫らだった。 屋敷の回りから外へ出ることはなかった。 必要がなかったからだ。 必要なモノは全て誰かが持ってくる。 父と母は、家に訪ねてくるその人たちとも身体を重ねた。 それが仕事だった。 美しい両親を同時に交互に、その人達は貪った。 誰も決して口を利かない。 それも決まってて。 父親が突き上げられ喘がさせられるのも、母親が誰かの上で腰を振るのも、いつものことだった。 部屋の隅に兄と弟がいても、見えないようにその人達は振舞った。 両親を夢中で貪っても、その人達は子供達には目も向けなかった。 ただ、「男の子しかいない」「これでは絶えてしまう」「どうすれば」そういう声が立ち去る時に聞こえたから、自分達のことを認識はしているのだと思った。 両親はいつもニコニコ笑ってて、優しくて。 とても淫らにあいしあっていて。 とても美しくて。 兄も美しくて淫らで優しくて。 常に愛撫とキスと、抱擁と快楽が言葉だった。 兄に愛されるのは素敵だった。 ペニスを舐められ、後ろの穴を指で弄られ、喘ぐ。 兄のもそうしてあげた。 互いの乳首を舐め合い、勃起したペニスを擦り合わせ、まだ射精は出来ない頃から何度も達した。 弟は身体の成長が早かったから、兄より先に精通が来て、兄の後ろを犯してあげるようになった。 兄は泣いて喜んで、もっとして欲しいとねだった。 そこから兄の後ろを犯すようになった。 父と母はそれを見て笑って、また互いに身体を重ねあっていた。 両親は「兄様」「妹」そう呼びあっていて。 兄と弟も「兄様」「弟」と呼びあっていた。 幸せだった。 幸せだった。 優しい両親。 兄の甘い吐息と、兄の中の温かさ。 抱きしめあってキスしあって。 快楽に溺れた。 ある日沢山の見た事もない人達が訪れ、「保護」だといって父と母から自分達兄弟を引き離した。 「信じられない。現代でこんなことを・・・」 狂ってる。 誰かが言った。 「近親相姦を繰り返させ、村全体で性虐待していたんだ。【神】の名前を借りてな。気の毒に顔も身体も綺麗だが、知能は小学生レベルだ。その方が都合が良かったんだろうけどな」 誰かが吐き捨てるように言った言葉の意味が分かったのはもっと大きくなってからだった。 父も母も兄も。 子供程度の知能しかなかったということも。 村がある一家を閉じ込めて、近親婚を何代にも渡って繰り返させ、その子孫を性虐待していたのだ。 宗教の名前を借りて。 女の膣に挿入することは禁止することで、自分達の血が一家に流れることを止めていたのだ。 そして現代になってからはコンドームを使用することで女の膣も使うようになっていた。 母の後ろももちろん犯していたけれど。 美しい一族を村で飼っていたのだ。 子供が大人になるまで手を出さないことくらいが禁忌の名前を借りた良心だった。 「助けに来た」 とその人達は言ったが、家族はバラバラにされた。 父と母も引き裂かれただろう。 兄とも「一緒にいるのは良くない」と離された。 一般社会に適合するためだと。 そして、弟だけは他の家族とは違って極めて優秀な頭脳を持っていることがわかった。 人口のコンマ何パーセント以下しかいない天才だと。 セックスを求められる代わりに頭脳を求められた。 結局村の連中と変わらないと思った。 でも。 家族を取り戻すために言うことを聞いた。 兄と身体を重ねたかった。 兄の中に何度も放ちたかった。 兄を取り戻したかった。 家族の情報を得るためだけに、言いなりになった。 大人になった。 もう言いなりになるだけでなく、どんな情報でも引き出せるようになった。 調べてわかった。 両親はもう死んでいた。 保護されてすぐ。 両親には外の世界は合わなかったし、何より引き離されて生きていけなかったのだ。 兄と妹、誰よりも愛しあっていたから。 兄もみつけた。 まだ生きていた。 施設に閉じ込められていた。 兄は色んな施設をたらい回しになっていた。 誰彼構わず誘惑して、性行為をするからだ。 仕方ない。 兄はそれが悪いことだと知らないから。 兄を引き取った。 引き取るために色んな仕事をした。 沢山の人の死に関わる仕事もあったが気にしなかった。 久しぶりに会った兄はやはり美しく、兄をすぐに抱いた。 兄は幼い日の名前で弟を呼んだから、うれしくて嬉しくて。 何度も兄を貫きイかせた。 兄の中は思い出の中より気持ち良く、暖かく、いやらしくて愛しかった。 子供の頃では届かなかったところまで犯した。 兄が喜ぶのが堪らなく嬉しかった。 「弟」「兄様」それが名前。 そう、呼びあう。 兄の後ろを自分だけのものに作り替えるのに夢中になった。 誰に犯されていてもここは自分のモノだった。 そして、何をしても喜ぶ兄が愛しすぎた。 兄の愛を受けた。 淫らな指、いやらしい舌、締まる喉。 全てで愛してると伝えてきた。 兄には時間の観念が無く、弟とそんなに長く離れていたことも分からなかった。 だからこそ、昨日離れただけのように変わらず愛してくれた。 夢中で弟のモノをしゃぶり、それでイク兄。 弟のモノを挿れたがる兄。 全身で伝えられる愛。 それがどれほど愛しいのか、外の世界の人間には分からない。 でも、閉じこめる屋敷が必要だった。 兄を鳥籠に入れた。 兄は外では異常者だから。 籠に入れてやらなければ。 外の世界から守る鳥籠だった。 セックスしか知らない兄を愛している。 美しい兄。 兄は誰とでもする。 たまに迷い込んできた男でも女でも。 無邪気に誘って、淫らに喰らう。 仕方ない。 兄は何も悪くない。 悪いことだと知らないのだから。 兄のために迷い込む者を用意しさえした。 兄を養うために仕事をしなければならない。 その間、兄が身体を飢えさせているのは可哀想だったから。 欲しがる兄を飢えさせるなんて出来ない。 そんな酷いことは。 選んで与えた。 兄は喜んで他人の身体を貪った。 セックスしか知らないから。 でも、他の者とした兄を自分のモノにする為に、その後はまた犯した。 「兄様、兄様!!」 美しい兄を、他人に犯された兄を、自分のペニスと精液で自分だけのモノに戻す。 しゃぶられた乳首を、噛んで舐めて自分のモノにもどす。 それは愛しい行為だった。 セックスしか知らない兄は無邪気に喜び、イキ狂う。 実の弟と繋がることに何が悪いのかも分からない。 父や母を思い出す。 両親もこうやって愛し合っていたのだろう。 「弟、可愛い、弟」 兄が言う。 いやらしく弟の性器をしゃぶりながら。 愛しすぎた。 セックスしか知らない兄の、これが弟の愛し方で、とても愛されているのがわかるから。 何がいけないのかも分からない兄が全身で求めてくることがどれ程愛しいことなのか、この社会で生きる人間には分からない。 「好きだよ、兄様、沢山しようね」 弟はそう言って、兄の喉を犯す。 それを兄が喜ぶからだ。 「たくさんする、たくさんする」 兄が音を立てて飲んだあと、白濁を口の端から零しながら言う。 喜んで。 「いっぱいしてあげるからね」 弟は兄の足を担ぎ上げ、思い切り突き上げるのだ。 兄は直ぐに他の相手にされたことを忘れて夢中になるだろう。 それでいい。 楽園をとりもどした。 兄を閉じ込める鳥籠が、弟にとっての、そして兄にとっての楽園だった。 おわり

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