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第5話 優しい弟
弟が。
怖い。
その視線が。
隣りにいるその熱がこわい。
どうしてこうなってしまったのか。
仲の良い兄弟だった。
ヤンチャな弟と、大人しい優等生の兄。
よくある兄弟で。
両親の言うこともきかない弟が自分の言うことを聞くのは優越感があった。
小さな頃から自分を追ってくる弟が可愛いかった。
可愛かったけれど。
中学生、高校生になってまでそうだと。
多少閉口した。
でも。
外ではどうやら怖がられたりもしているらしい、強面の弟が、自分にだけは昔からの甘えたの顔を見せるのは可愛かったのも事実だった。
私立の進学校に通う自分を、治安の良くない高校の制服を来たいかにも不良な弟が追いかけてくるのは、恐喝されているみたいでもあったけれど、どんなにイカつい不良のフリをしていても、兄をみつけたら全力で追いかけて来る弟は可愛かった。
可愛かった。
はずなのに。
高校生になって弟の視線が変わった。
焼け付くような何ががそこに入り始めた。
不安になる視線。
前のように気軽に抱きついて来なくなったのが逆に怖かった。
こちらが見てることに気付くと目をそらし、こちらが見ていない時にはじっと見てる。
部屋着のTシャツの緩んだ首元、短パンからでる太もも。
そんなところには特に視線が集まる。
そういう視線の意味が。
意味が。
考えたくなくて怖い。
弟はモテる。
女の子と付き合ったこともない自分とは違って童貞じゃないのを知ってる。
良く女の子を連れて歩いていたし、隣りの部屋の窓から夜抜け出してどこかへ向かっていたの知っている。
中学生でだ。
怒ったこともある。
弟は避妊はしてる、と言い訳してた。
今でも。
弟は夜抜け出して、どこかへ行っている。
だから、女の子としてるから。
兄を見るこの目はそういう意味じゃない。
でも。
それならなんで。
風呂上がりの兄のバジャマの襟元から目をそらさないのか。
その日、弟を向いても弟は視線をそらさなかった。
それどころかさらに見つめて来た。
食い入るように。
両親は。
親戚の家に出かけていて留守で、帰ってこない。
二人きりで。
弟が勃起しているのが分かってしまって。
固まってしまった。
弟は食い入るように兄を見続けて。
兄は動けない。
弟がのそりと立ち上がった時、兄は震えた。
だけど弟は兄の横を黙って通り過ぎ、自分の部屋へと消えた。
そこで何をするのかなんて。
明白だった。
その夜。
閉じたドアの向こう。
隣りの部屋から。
弟が自分の名前を叫びながら自慰をしているのを怯えながら聞いていた。
それは朝方まで続いて。
もう。
もう。
誤魔化しようがなかった。
弟が。
一線を超えたのが分かってしまった。
弟は聞かせているのだ。
兄を思ってする声を。
果てる呻きを。
怖くて堪らなくなった。
でも。
同じ屋根の下。
逃げることもできない。
次の日の朝。
狭い洗面台。
歯を磨く兄の後ろに弟の大きな身体がのしかかる。
出かけて朝方帰ってきた両親が見かけても、狭い洗面台を兄弟が仲良く使っているだけに見えるだろう。
だけど、弟は硬くなったそこを自分より頭1つ小さい兄の尻に擦り付け始めていたのだ。
怖くて、弟の方を振り返ることはできなかった。
だけど鏡に自分を見つめる弟の焼け付くような目が映ってしまう。
鏡をに映る、弟の目から目をそらせない。
その目の飢えは獣のようで。
兄の震える身体に弟は何度も何度もそれを擦り付けてきた。
押しのけることもできない。
帰って疲れたと眠っている両親に気づかれる。
見られてはいけない。
兄は身体を強ばらせ、弟の性行為そのものの動きに耐える。
弟は兄の背中に身体を密着させて腰を思い切り動かしていた。
尻の狭間を着衣の上から動かれた。
薄い布地はでも弟のペニスの形と熱さをつたえてしまう。
それが服の中で濡れているのが、分かる。
濡れた硬い熱いソレに擦られている。
熱い吐息が耳元でする。
いやらしく動くそれが、兄の尻の狭間を擦り上げていく。
そして。
弟は兄の尻に擦り付けながらイったのだとわかる。
熱い呻き。
ずっと鏡越しに見つめられていた。
光る目が兄を見てた。
兄は怯えて震えて。
弟はそんな兄の震える身体を抱きしめた。
そして確かに首筋にキスをして。
離れて行った。
浴室の方へと。
汚れたパジャマや身体を綺麗にするつもりなのだろう。
兄はその場にへなへなと崩れ落ちる。
怖い。
怖い。
可愛かったはずの弟が怖かった。
だけどその晩。
弟は帰って来なかった。
何日も。
両親に電話はあったらしく、両親は怒りながらも心配してはいなかった。
3日後帰ってきた。
ちょうど予備校から帰ってきたところで、戻ってきた弟と鉢合わせして。
弟は甘い女のシャンプーの匂いを纏ってて。
どこにいたかなんて明白だった。
弟は兄をみようともせず、自分の部屋に入っていく。
なんだ。
なんだ。
女でよいのか。
兄は少しホッとした。
これで何も変わらない、と。
その夜弟の部屋の窓が開いて、弟が抜け出す音と、部屋の下まで車で迎えにきている女の声を聞いた。
年上の女と付き合っているのか、と思った。
その女の部屋で。
弟はしてるのだ。
車に乗って、弟はどこかへ行った。
そして、数時間後、また窓から帰ってくるのを兄は音で確認した。
なのに。
なのに。
兄の部屋のドアが開いた。
兄は固まる。
弟の足音がしたから。
ベットサイドで立ちどまるから。
何で何で何で
兄は弟が立つ側に背をむけたまま、暗闇の中、壁をみつめて身体を強ばらせた。
女と散々・・・、やってきたはず・・・
なんで
なんで
なんで
「なんで泣いてるんだよ、兄さん」
弟の声は甘かった。
弟はベッドにもぐりこんできて、背後から兄を抱きしめる。
そして後ろから兄の頬を優しく指で撫でた。
そこは涙で濡れていて。
泣いていたのだとバレていたのだと。
「こんなことするから。泣いたりなんかするから。もうダメだ。兄さんが悪いんだよ。オレをずっとあんな目で見つめて。オレにあんなことされても、あんな顔して。オレにされてる間ずっと勃起させてだろ?こんなのもう止められるわけがないだろ?オレが女の所に行ってたらこんな顔までして」
弟がため息をつく。
兄は泣いた。
そうだったから。
弟だからと思い込もうとしていたのは自分の方。
自分の方が狂ってた。
あの時、弟に服の上からペニスを擦り付けられて、勃起していたのは兄もだった。
一緒に射精していた。
弟が自分の名前を叫んで自慰をしている声を聴きながら、弟の名前を呟きながら何度も何度も自分で後ろと前を弄って達していたのは兄だった。
女の元へいく弟に嫉妬し続けて、弟をおかしな目でみていたのも。
飢えたような目で弟をみていたのも。
兄である自分の方。
おかしくなっていたのは自分の方。
考えないようにしていた。
おかしかったのは自分のことは。
自分に嘘をついていて。
「あんな目で見るから・・・もう無理。女いくら抱いても無理。もう無理」
弟が背後から抱きしめながら言ってきて、バジャマをまくり上げて胸を撫で回してきた。
その感覚に身体を震わせたなら、弟は笑った。
そして、パジャマのズボンと下着ををずらしてペニスを掴んできた。
その乱暴な手に小さな声をあげたけれど、弟はもう躊躇わなかった。
兄のペニスをしごき始めた。
そして剥き出しにした兄の尻に、弟は生のペニスを擦り付けていく。
それを 喘いで拒否できないのは兄である自分。
全部自分のせいだと兄は自覚して泣く。
「そんなに・・・オレが好き?兄さん」
囁かれて、小さく頷いた。
もう嘘は付けなかった。
女の匂いがするから。
女の所へ行かせたくないから。
それが正しいと分かっているのに。
女の元へ行かせるべきなのに。
「声抑えろよ。父さん母さんに見つかるのは嫌だろ。流石にコレはシャレになんない。でも・・・もう我慢できないよな、お互い」
弟の言葉はその通りで。
弟が背後から自分を抱きしめたまま、胸を揉み込むのを、ペニスを扱き始めるのを、尻に硬い弟のペニスが直接こすりつけられるのを。
拒否などできなかった。
兄は悦んでしまっていた。
身体は心を表していた。
弟の手にペニスは悦び、尻を自分から振る。
「オレのをここに擦り付けられて、イったんだろ?兄さん」
弟が囁く。
熱いペニスが尻の間をこするから、兄は喘いだ。
弟は嬉しそうな声で笑う。
平たい胸を撫で回し、乳首を手のひらで転がしながら。
小さく喘ぐ。
弟の手が気持ち良すぎて。
胸を弄られペニスを擦られて。
弟の手に翻弄されていた。
情けないほどに。
「ここを勃起させてたんだろ?あの時、パンツの中にだした?」
言われて、泣きながらうなずく。
弟が兄の尻に擦り付けながら達した時、兄もそうされただけでイったのだ。
尻の上から擦り付けられただけで。
エロい、と弟は喜んだ。
「乳首もこんなに尖らせて。女みてぇ」
コリコリと乳首を指先で擦り合わされ、零れそうになる声を堪える。
そして泣く。
弟が抱いていた女のことを考えて。
男の胸より、女の方が良いのだろうと思って。
女の豊かな胸でそうしていたのだろうと。
思わずそう言ってしまっていた。
「泣くなよ・・・。確かに今まで女は沢山抱いてきたけど・・・女じゃダメだったんだよ。兄さんが欲しくて・・・兄さんを諦めきれなかったんだよ。・・・だから・・・泣くなよ。まあでっかい胸は好きなんだけど、確かに」
弟は困ったように言った。
「こっち向けよ」
弟は背後から抱いていた身体を正面に向けて、上からのしかかると兄の顔を覗き込んだ。
兄の顔はぐしゃぐしゃになっていて、その顔のあちこちに優しいキスを落とした。
そして、真剣な目で兄を見下ろす。
そんな弟の顔は見た事がなかった。
泣くのを止められない兄は、また顔を歪めて泣いてしまう。
こんな男の泣き顔、弟は嫌になってしまうのでは、と怖くなりながら。
「可愛いな、畜生・・・。クソ、めちゃくちゃ可愛い・・・ああ、もうダメだわ。泣き顔がエロ可愛いって破壊的」
弟はうめいた。
「そんな顔で欲しがられて、泣かれて。もう諦めることなんて出来るわけがねぇだろ」
そして、キスをされた。
唇を塞がれ、入ってくる舌を兄は夢中で求めた。
キスのやり方なんか知らなかった。
でも。
弟がしてくれる全てが欲しくてたまらなかった。
舌を絡められ夢中で絡めかえした。
噛まれて吸われて、蕩けきった。
キスされながらペニスを扱かれて、イカされた。
出したモノで穴を解されながら、胸や乳首をさらに弄られた。
弟は女の胸に比べたら貧相なはずの胸に夢中になった。
吸って噛んで舐めて。
そこがそんなに感じることを教えられた。
兄の胸が好きだと囁かれた。
このエロい乳首がいいんだ、と
また吸って感じさせられ、噛んで震えさせられ、舐めて甘イキさせられた。
女の胸より好きなんだ、と兄が納得するまで止めてめらえなかった。
キスで塞がれていない時は枕を顔に押し当てて、兄は声を殺した。
声を出さなくても痙攣してしまう身体が、どれだけ快感を得ているのかを弟に教えてしまうのかが、恥ずかしくてたまらなかった。
「エロっ・・・」
弟が嬉しそうに言うから。
この男の身体でも喜んでくれてるから。
泣きながら恥ずかしさに耐えた。
「オレのこと考えて、後ろまで弄ってたんだ?」
昨夜もそこで弟のことを思ってしていたことがバレてしまう。
だって。
容易くほぐれて、ほしがってしまう。
ずっとしてた。
隣りで眠る弟のことを考えて。
弟が高校生にはいる前からだ。
弟が兄を見つめるようになる前から。
ずっと後ろも使ってしていた。
怖かったのは弟じゃない。
そんな自分だった。
四つん這いにさせられ、尻を突き出すように言われて穴を舐められる。
濡らさなきゃ、と言いながら。
兄がある、と伝えるローションを弟は無視をする。
弟はそこを舐めることさえ楽しんでいた。
弟の舌が穴を欲しくてたまらないと思っていることを教えてくれる。
執拗にこそげとるような動き。
中まで舐められ、恥ずかしさと快楽にすすり泣く。
気持ちよすぎて、また射精してしまい、やっぱりエロいと弟によろこばれた。
枕に声を吐き出しそこで狂わされ続け。
指も使われ弄られ、舐められる。
自分でするのとは比べ物にならなかった。
とうとう弟がそこに自分のペニスを沈めた時は、挿れられただけでまた射精した。
「気持ちいい、たまんねぇ・・・」
弟が満足そうに言う。
動かれておかしくなりそうで、枕を噛み締めて耐える。
「今度また声を聞かせろよ。今日は、我慢な。でも我慢してこんなに感じてんのってエロすぎるよな」
弟は声を出さない兄に興奮していて、バカだと思って。
でも愛していた。
泣く。
愛してるから。
ダメなのに諦めきれなくて。
でもうれしくてたまらないから。
「そんなにオレが好き?こんなに欲しがられてるからわかっちゃう」
弟が低い声で笑うから、また締め付けてしまい、そして泣く。
気持ち良くて嬉しくて、でもいけないことだと。
でも突き上げられて、喜んでしまう。
気持ち良すぎて枕の中に声を吐き出してしまう。
噛み締める枕にヨダレをたれ流し、背中を反らせてヒクヒクと痙攣してしまう。
そして泣いてしまう。
いけないことだと。
「泣くなよ。オレが決めたんだから。兄さんはオレに押し切られただけ。兄さんは悪くない」
その声は優しい。
突き上げる腰はえげつなくて、声を殺すのも大変な程に追い詰めて来るくせに。
「オレだ。オレが無理やり兄さんをこうした。だから兄さんは・・・何にも悪くない」
弟はやさしかった。
何度も何度も深く重く突き上げて、声を出せない兄を、セックス自体した事がない兄を追い詰めるくせに、全く手加減してくれないくせに。
優しかった。
「オレだよ。オレが兄さんを犯したんだ。だから兄さんは。オレのせいだと思えばいい」
優しい弟は。
兄に逃げ道をくれる。
容赦なく尻を持ち上げ奥深くまで抉り続け、セックスに慣れてない逃げる身体を押さえ込み、さらに深く入るくせに。
枕を噛み締めて、両手でシーツを握りしめ、兄はつま先でマットレスを蹴り上げ、弟の激しさに耐えた。
快楽というには激しすぎた。
この許されない思いのように。
でも許されないからこそ、容赦ないことが、救いにもなった。
「オレが兄さんを犯してるんだ。兄さんがエロくて可愛いから。誰にも渡したくないから、兄さんを犯してるんだ」
弟はどこまでも優しい。
絶対に止めてくれないけれど。
枕を噛み締め、またイク。
涙を流し、許しを求めることも許されず、中に出されて、また始まる。
弟も。
飢えていたのだ。
兄に。
貪られるから分かってしまう。
それがうれしくて。
両親が目を覚ますまでそんなに時間はないのに。
色んなことを考えても、怯えても、弟の突き上げで悦んでしまう。
「兄さん・・・オレ以外とするのは許さない。キスも全部オレとだけ。一生オレに犯されるんだよ、兄さんは」
それは優しい言葉だった。
罪を全て引き受けて。
これをレイプにしてくれる、優しい優しい弟の言葉だった。
誘ったのは。
ずっとほしがっていたのは。
兄である自分の方なのに。
「兄さん・・・可愛い・・・」
愛してると言わないのが弟の愛。
レイプだということにして。
ワガママで酷い兄を救ってくれている。
「兄さん、沢山犯してあげる」
それは兄の望みで。
兄はまた枕を噛み締めて、弟が自分を犯してくれるのを期待して自分から尻を淫らに揺らした。
弟が笑う。
少し苦くて。
切ない笑顔で。
そして。
狡い兄は。
弟に犯されるのだ。
声を押し殺し、また兄はイった。
望みとおりに
おわり
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