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第3話

 曲がりくねった角、鏃のような形をした尻尾。  古代の宝石のような不思議な色をした瞳と、長く伸びた爪。  蝙蝠のような普段はしまってあるんだろう翼が背中にあるけれど、それ以外は人間と大差ない。  でも何より違うのは、夢魔って言ったらそれはそれはおっぱいと尻が大きくてスレンダーなお姉さんをイメージしてたのに、男だってことだ。  もはやこれも胸かっていうレベルの大胸筋と、シックスパックに割れた腹筋が嫌でも目につく。  ラクダのコブのような腕で殴られたら、俺なんていとも簡単に撲殺されてしまうことだろう。  それに……ああ、なんてことだ。  その……チンポも俺がフル勃起した時より一回りも二回りも大きくて、同性ながらギョッとする。  夢魔は相手にとって最も魅力的な姿に変化するはずなのに、なんで……そもそも俺の性の対象は女だ。  マッチョの男は、まあ確かに同性としてスポーツ選手とかアクション俳優を格好良いなと思う程度なのに。 「それにしては感触とかリアルすぎるし、匂いもするぞ……ちゃんと俺の部屋だ。なんだこれ」  男は三十歳になっても貞操を貫いていると魔法使いになれるなどと巷で言うが、ちょうど迎えたばかりの俺も、もしや……。 「現実逃避をするな。俺様は貴様が欲求不満にもほどがある故に渋々現れてやったと言うに」  夢魔は呆れた声で言いながら首を横に振る。  ていうか、俺が欲求不満なのを知ってるって、まさか……。 「みっ、見てたのか!? 俺がオナニーしてるとこも、PCやスマホの検索履歴も、何なら日常生活だって!」 「その……機械には疎くてな。履歴とやらは見ていないが、まあ貴様の好む玩具ややり方で大方想像できる。あと、日常については確かに何度かは見たが、あまりにもつまらなかったので近頃はずっと家におる」 「家にって……幽霊みたいなもんかよ……だったら家賃払えよな……」 「やちん、とは……?」 「ここに住む為の金のことだよ! インキュバスとか言ったっけ? お前そんなに人のこと見張っておいて何にも知らねーのな!」  ついつい口調を荒げてしまう俺に対し、夢魔は目をぱちくりとさせて驚いていた。

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