5 / 24

第5話※フェラ

 俺なんで男に、え?  自称夢魔に? 今フェラされてんの……?  そもそも深夜だし怒涛の展開すぎて頭が上手く回らない。  けれど自分のことだから一番厄介なのは、思った以上に身体は素直だ……。  大量の唾液を絡めて根元までジュッポジュッポと扱かれるのもたまらないけど、雁首や裏筋をゆったりと大きく舐め回されるのも心地良い。  媚薬入り……らしいからこんなに感じているのかもしれないけど、それにしてもなんて舌技だ。 「んっ、んふっ、ふふ……もうこんなに俺様の口の中で大きくしおって」  ガチガチに血を集めて、たぶんだらしなく漏れ出る我慢汁も嚥下しながら、夢魔は嬉しそうに笑う。 「ちょ、無理っ、で、出そうっですから……」 「出せばよい」 「でもそれじゃあ……」 「いいから出せこのオナニー猿めがっ! 本物の女を知らぬ未使用精子を俺様の口にぶち撒けろ!」 「う、ぅあ、あぁぁっ……!!」  痺れを切らした夢魔が、下品な音すら立ててむしゃぶりついてくる。  なんだか、乱暴な言葉遣いをされるのもプレイとしては案外良くて、俺は夢魔の口内に自分でもまだこんなに出せたのか? と思うほど大量の精液を噴出させていた。 「うわっ、わわ……す、すいませ……」 「謝らずとも……よい。んぐ……うむ……俺様の魔法があるにせよ、なんと濃くかぐわしい……。それに、ごくっ、ごきゅ……固くて喉に絡まって飲みにくい……あぁ……ぷはぁ……」  なんたることか、夢魔は俺の精液をも嬉しそうに全て飲み干してしまった。  ……まあ、そういう悪魔だから仕方ないのかもしれないけど。  まるで鬼が樽一杯の酒を飲んで満足しているみたいだ。 「ふぅ。まあ、今宵はこんなものであるか。貴様の味、しかと覚えたぞ」 「えっ……今宵は、って、次も来るんですか!?」 「もちろん。せいぜい俺様に搾り取られるのを楽しみにしておけよ、琢朗(たくろう)」  何故か俺の名前を長年知っている風に呼んで、夢魔が消えるのと同時に俺も微睡の中に落ちていった。 ◆  翌朝、下半身が肌寒くて起きると、ティッシュで拭いたオナニーの分とは違う、明らかな情事の染みがシーツについていた。  夢精した……訳じゃないとは思う。  明晰夢にしては、あまりにもリアリティがありすぎた。  男同士なのに、気持ち良かった……。  これが本当に夢魔の仕業なのだとすれば、俺はこれから、いったいどんな生活を送ればいいんだ。  彼は俺のことをずっと監視してる。もしかしたら、今だって。  いつまた彼が来るのか、ドキドキしながら過ごさざるを得ないのか……そう考えながら、とりあえず下着を履いてシーツを替えることにした。

ともだちにシェアしよう!