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第15話

「……俺様は貴様の先祖代々をずっと見てきた。だが誰とも関係を持ったことはない。若者はすぐに婚姻を結んでしまったし、それほど精力もなかったからだ。だが、琢朗は……その、俺様の条件にぴったりの逸材であった」 「それって……もしかしてメアさん、俺のこと、好き……なんですか……?」 「好き、だと……? 軽々しく言うでないわ! それ以上だ! 貴様はこの俺様がいったい何百年待ち続けていた人間だと思っている、もはや決して逃がすものか」  そう力説するメアさんは息を荒げている。  目も血走ってきて、今にも襲われそう。 「女を知らぬ清い身体、性に素直な思考、俺様と何事もなく対話しようとするその心意気、何度射精しても一向に精力の衰えないそのチンポ……正に俺様が求めていた存在そのものだ」  なんだかとても良く言ってくれているようだけど、そ、それってつまり……精力だけはある空気の読めない童貞がどストライクってことかよ。  逆に傷付くんですけど。  でも、待ってくれ。  俺の先祖代々を見ても手出ししなかったってことは、勝手にさぞや経験豊富な夢魔なんだろうと思ってきたけど、メアさんって、人との触れ合いがない?  他人のこと言えなかったけど、童貞だったりしちゃう? あれ? 「……メアさん、もしかしてメアさんも俺が初体験……でしたか?」 「?」 「だから! その……人間とセックスしたの、俺が……」 「……ああ。そういえばそうなるな」 「ええ!? でもすごく慣れてそうに見えたんですけど……」 「いつ何時襲えるように鍛錬はしていたからな」  鍛錬……?  お尻でしたりフェラしたりするのを?  あのーそれって立派にオナニーって言うのでは。  なら、何百年も存在をひた隠しにして孤独に処女の自分を慰めていたってこと?  そんな……そんなの。  俺はメアさんの引き締まった胸筋に抱き付いていた。 「溜めすぎにもほどがありますよ!! 俺っ、そんなの耐えられない! なのにメアさんのことわがままだとか勝手に思って怒ったりなんかして! 配慮に欠けてましたごめんなさい!」 「……お前はやっぱり性欲に忠実な人間だな。今さら情けなどかけなくともよい」 「情けなんかじゃない!」  すりすりと顔を密着させ、メアさんの手にかかればすぐに引き離されてしまうだろうに、抱き締める手に力を込める。  少しでもメアさんに俺の気持ちがわかってもらえるように。信じてもらえるように。 「琢朗……。わかったもういい、俺様としたことが……貴様に良く思ってもらえるはずはないと、心のどこかで決め付けていたのだろうな」  いつも自信たっぷりなメアさんの、本音。  聞けて嬉しかった。

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