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触れられない心③

女体のような柔らかさは感じないが、胸元の丸くて小さい突起が可愛らしく見えて、吸い寄せられるように口をつけて啄む。 「んっ……あっ」  理人さんの色っぽい声に興奮してもっと触りたい。この人を暴きたい。  夢中で突起を吸って、甘噛みして、舌でころがしている間、感じながらも徹史のバスローブの紐を解いてくる。肩を軽く押されて、彼の胸元から口を離すとベッドへと押し倒されたてしまった。 「う、理人さん……⁉」  馬乗りになった理人さんの体は徐々に下肢の方へと下がっていくと、下着を脱がされ、既に滾りをみせていた芯が彼の口内へと沈み込んでいった。   徹史は驚きのあまり腰を浮かせたが、直ぐに腿を押さえつけられてしまう。彼女がいたときはフェラなんてしなかった。女 性に男のモノを咥えさせるのは気が引けていたし、セックスは彼女が気持ちよくなることを第一に考えてしていた。茂みに隠れた根元から舌が這う感覚に、一気に熱が集中する。 理人さんの唾液と俺の先走った透明な雫が合わさって、徹史の脳内を目と感覚で刺激してきていた。  しばらく咥えながら流し目で見てくる妖艶な瞳にうっとりしていると彼が腰に跨ってきた。ローションを掌に取ると、自らの後孔に塗りつけ、指先を入れて軽く解した後、そのまま滾った徹史のモノを目掛けて腰を下ろそうとしてくる。 「まっ……まって、ゴムっ」  徹史は慌てて腰を引かせては、挿入してこようとする彼から逃げると、慌ててヘッドボードにあったコンドームの袋を取り出した。 「あ?病気は持てないから安心しろよ」  別に理人さんを疑っている訳じゃない。ひとめ惚れした男と言葉を交わして数時間しか経っていないのに、肌を重ねられたことは喜ばしいことではあったが、行為の所作はちゃんと心得たかった。 詳しいことに疎い徹史でも避妊具はつけて挑むべきだと千坂から教わっている。 これから恋人になる人なのだから大事にする意味を込めて……。 「そういうことじゃなくて、初めてはちゃんとしたくて……」   決心思いで打ち明けたが、理人さんは明らかな不機嫌そうな表情で舌打ちをした。 「どこの童貞が言ってんだよ。まぁ、いいや。それでトラウマになられても面倒だし。貸せよ、つけてやるよ」 「有難うございます……」  深く溜息を吐かれながらも、理人さんは手にしたゴムを奪い取ってくると、慣れた手つきで袋を開けて腹部に沿うほど反り立たせたソレに装着してきた。あっという間に熱く刺激を求める先端を襞が飲み込んでいく。   彼の身体の上下運動に合わせて喘ぐ声と昂った尖端から零れる液が美しい……。やっぱりこの人のことが好きだ……。  この人に好かれたい……。  恋人として一生一緒にいたい……。  だから、今度は失敗したくない……。  理人さんが腰を揺らす度に中が締め付けられて、徹史は直ぐに射精感が押し寄せてくると彼の中で果ててしまった。

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