11 / 14
触れられない心④
初めての理人さんとのセックスは今まで以上に幸せな気分だった。男の人でイける自分に驚いたが、何より、理人さんが自分のモノで感じている姿が芸術品のように綺麗で脳が震えるほど、徹史を虜にさせていた。
暫く余韻に浸る徹史の一方で理人さんは終わった瞬間にベッドから降りると裸のままソファに足を広げて座り、一服を始める。
事後は身を寄せ合ってイチャイチャするものだと信じて疑わなかった徹史にとって彼の行動は少し寂しく感じた。しかし、世の中には事後は淡泊になる人だっていると耳にするし致し方ないのかもしれない。
まだ正式に交際を申し込んだわけではないけれど、身体から関係が始まることはよく耳にする話だし、期待をしていいんだろうか。
徹史は理人さんの姿を目で追いながらベッドから起き上がる。煙草を燻らせながら、物思いにふけるように煙を吐きだす姿にドキッとさせられながらも、徹史の頭の中は理人さんとの今後の事でいっぱいだった。
「あの、理人さん……。俺達……」
「あ、そーだ。連絡先教えて?」
「はいっ」
徹史が念の為に本題を切り出そうとしたのと同時に、理人さんがスマホを手にして左右に振ってきたので、大きく頷く。
彼の気が変わらぬうちにすぐさま鞄からスマホを取り出すと理人さんの座るソファの隣に正座をした。お互いのQRコード読み取って連絡先を登録する。
「連絡してダメな時とかある?」
「いいえ、特にはないです。できれば俺、毎日……いや、理人さんはありますか?」
出来れば毎日でもしたいところではあるが、それはきっと世間で言う重い男になってしまう。雰囲気からして、理人さんは恋愛関係においてかなり淡白そうだし、徹史は言いかけた言葉を呑み込んだ。ここは大人になって我慢することも必要な気がした。
「ないけど、あんまり私情に踏み込んで欲しくないから、誘いのメッセージ以外送ってこないで」
「はい……」
誘いの連絡以外ということはそんなに頻繁に連絡できるものじゃない。せめて週一くらいで彼との恋焦がれたメッセージのやり取りを期待していただけに、本人からメッセージ拒否を宣言されて身を切られたような思いだった。
ともだちにシェアしよう!