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 青極花のように花びらは五枚。しかし青いグラデーションではなくただ真っ白で花びらの先も尖った形をしていた。 「これ、みしらぬ花じゃないか?」  苦しそうな笑顔を浮かべて瀬那に渡してきた。それを受け取るも、痛みに苦しむ羅羽須を目の前に、瀬那は上手く笑えなくて泣きそうな顔になる。 「羅羽須さん……」 「転がり落ちて……気がついたとき、顔の横に、咲いてた……。ふぅっ……だから、これで、先に進めるぞ」  息を乱しながら、そんなに絶望するなと言われているような気がした。すぐに絵海琉と絵理久が駆け寄ってくる。 「羅羽須様、大丈夫かよ! 二人が転がり落ちるのを見て肝を冷やしたぜ」 「とにかく、丘の上まで戻りましょう。痛み止めの薬草も持ってきていますので」  絵海琉と絵理久の顔もさすがに焦っているようだった。羅羽須の体を瀬那が支え、丘の上まで移動する。 「痣の痛みは冷やすと少しは軽減できるはずなんだ。絵海琉、薬草まだか」 「今やってる」  毛布の上で横になっている羅羽須は、右の肩も押さえていた。また痣が広がっているのかもしれない。竹で作られた水入れに入っている水で布を湿らせ、羅羽須が手で押さえている痣部分を冷やす。しかし水を含んだ布はすぐに温かくなり冷やす術を失っていった。 「この辺に川とかあるかな?」  辺りは青極花の咲く丘ばかりだ。ここに来るまでに小さな沢を渡ったが、おこが一番近いなら六花に乗らなくてはいけない距離である。 「六花に乗れるのは体の大きさからいって瀬那さんだけですが、馬に乗ったことはありますか? あ、自分一人で手綱を持ったことがあるかということですが……」  絵海琉が真面目な顔で聞いてくる。これまでずっと六花に跨がっていたが、手綱を持って引いていたのは羅羽須だった。 「自分一人で……乗れるかどうかはわからない。でも、僕しかいないんだ」  しかし迷っている暇はない。どちらにしても水の入手は必須だった。目の前で苦しむ羅羽須をこのままなにもしないで見ているだけなんて無理である。 「行ってくる」 「瀬那、お前、大丈夫なのかよ。六花は頭がいいし話せばわかるかもだけど、でも……」

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