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第9話 問題のない家3

「ただいま。翠、具合どう?」  オートロックのドアが背後で閉まるのを確認すると、毛足の長い絨毯が足音をすべて吸い込んでいく廊下を、バタバタと走ってベッドルームへと直行した。  田崎から電話があった。翠が現場で匂いに集中し過ぎて、ゾーンに入りかけたらしい。  俺は真野家を出て最寄りの駅から電車に乗った後で、駅で電車を降りた後に留守電を聞いてからは、猛ダッシュで帰って来た。 「本当はお前を現場に迎えに行かせたかったんだけどな。お前の打ち合わせ先が現場と真逆だったから……俺が部屋まで連れて行ったから。後頼んだぞ」  そう連絡をもらっていたので、翠はベッドルームにいるだろうと思っていた。  リビングを抜けてベッドルームのドアを開けると、ベッドには、ぐちゃぐちゃになったシーツとずり落ちた掛け布団があるだけで、翠の姿が見当たらなかった。俺は部屋の中を見渡した後、今入ってきたのとは反対側のドアを開けてバスルームの方へと向かった。 「寒かったから、湯船にでも浸かってるかもな……」  そう独言ながらバスルームのドアを開けると、蛇口からお湯が流れ出る音がしていた。ただ、人が動く気配が無かった。  ここ最近の翠の現場での疲れ方が酷かったので、俺は服を着たままドアを乱暴に開けて中に入った。 「翠? 大丈夫か!?」  浴槽の縁にもたれかかるようにして、翠は眠っていた。体が温まって気が抜けたのだろうか。寝息を立てているのを確認して、俺は心底ほっとした。 「翠? ただいま。もう体洗った? このままじゃ危ないから、ベッドに連れていくけどいい?」  濡れるのも構わず、俺は翠を抱き上げた。かなり寝入っているようで、体がずっしりと重い。  田崎め、こんなに弱ってるならバース関係なくても放っておくのは危険だろう……意外に抜けてるんだなとため息を吐いた。 「ん……蒼?」  俺の田崎に対する不満のため息で翠を起こしてしまった。体を拭いてあげてベッドまで連れて行って、寝顔を堪能しようと思ってたのに。田崎め……とまた思う。翠がそんな俺の眉間を指でなぞって笑っている。 「何だよ。何そんなヘソ曲げてんの? 帰ってきたばっかりだろ? 打ち合わせでなんかあった?」  俺の顔を両手のひらで包みながら、くすくすと笑っている。鼻先をコリコリと擦り合わせ、満足そうに微笑んだ。 「おかえり、蒼」  そう言ってぶるっと震えた。俺はハッとして、もう一度翠を浴槽の中に座らせた。  そして、服を脱衣所で脱ぎ捨てて戻ってくると、急いで体を洗って浴槽に入った。  ズルズルと沈みかけている翠を後ろから抱き抱えるようにして座らせた。 「しばらく体預けてな。軽いケアしておくから」  翠のキレイな肌に頬ずりをして、首筋に軽いキスを落とした。 「ん……お願いします……」  翠がそう言いながら、くたっと力を抜いた。今キスをした首筋が、もっと無防備に顕になった。  そこを、舌でスーッと舐め上げた。すると、翠はビクッと体を震わせて、「あっ……んっ……」と小さく喘いでいく。  そのまま耳朶まで滑っていき、カジカジと耳朶を甘噛みした。 「そぅ……耳舐めちゃダメだからな……今舐めたら、俺多分意識飛ぶ」  ちょっと残念な気もしたが、俺は物分かりよく「了解」と返した。  もちろんそのまま大人しくしてはいないので、翠の顎を引いて舌の絡まり合うキスをした。  くちゅくちゅと音を立てながら、だんだん翠の顔が紅潮してくるのを見て、じゅううっと吸い上げた。 「ふ……う、ん、はっ……あっ……」  上気した肌の上に、手をつぅーっと滑らせながら体の前に回した。うっすらと熱を持ち始めた体の中心に手を添えると、先端にそっと指を這わせた。  硬くなり始めていたそれが、突然の刺激に晒されてビクンと跳ね上がった。 「あンっ!」  翠が思わず大きく嬌声を漏らした。何度かチョンチョンと触れると、だんだん慣れてきたのか大きな声は出さなくなった。  ただ、濡れた吐息を漏らしながら腰はゆっくり上下している。  しつとりと目を閉じて、半開きの口から漏れる音を自分で聴きながら、さらに心地よさを膨らませているようだった。  ここは反響音を計算して作られたバスルームだ。翠の耳が痛まないように、吸音材が使われている箇所がある。  だからある程度集中力を解放しても、快感に浸ることができる。翠はとても気持ちよさそうにしていた。  俺はそれを肌で感じ取り、快楽を得ている。それをまた翠に還す。順調なガイディングだ。  お湯の中でも、先端の凹みからトロトロと透明な蜜が漏れたのがわかった。  それを手で掴み取るようにして、翠のまわりに惑わせながら扱いていく。 「はっ…ああっ…あっ…そ…う」  小さく俺の名前を呼びながら身を捩る翠の体を少し前にずらした。  そして、後孔にゆっくりと指を差し入れていった。 「ああっ、あああっ、そっ…お、んんんっ」  最近、特に消耗が激しい日が続くから、毎日朝と夜と日に何度もする。  だから、翠の準備はほぼ必要無いくらいに短い。  それでも快楽が強ければ強いほどに回復も早いから、前の方の浅いところをグニグニと押してあげた。 「あああんっ!!!やっ、やっ、だっ……め」  軽く擦りながら抜き差しも浅くしてあげると、体に負担がかからずに気持ちよくなれる。疲れ切っている時は、翠にはこうしてあげるのが一番いい。 「気持ちいい? このままイク?」  顎を上げて顔を赤らめたまま、「あっ、あっ、あっ」と短く声を漏らし続けている。  前はどんどん硬くなり、みちっと音がしそうなほど張りつめてきた。 「やっ……して、蒼、して、挿れて、お願い……」  涙を浮かべて俺の方を見ている翠の目が、カチンっと何かのスイッチを入れた。  お湯の中からガバッと脇抱えて持ち上げると、翠を俺の顔の前に立つ形で膝立ちにさせた。  そして、おれはそのまま目の前にあるものを一気に口に咥え込んだ。 「ひゃあああああ!!! んぁー!!!」  大きくのけ反りながら、俺の口の中にビュクッと白を吐き出した。  その全てをじゅうっと吸い込んで、一滴も逃さないように取り込んだ。  ふらっとひっくり返りそうになっている翠がそのままお湯の中に倒れないように、手を伸ばして引き寄せ、背中を支えた。 「あ……バカ、なんで口に……へっ!? 何してんの?」  翠が息を切らして俺にもたれ掛かったタイミングで、風呂の栓を抜きお湯を捨てた。  そして、浴槽の脇においてあるチューブを手に取って、ローションを手に纏わせた。  前向きで抱き合い、キスをしながらローションを後孔にくるくると指で塗る。  回しながら少しずつ、つぷつぷと指を挿れていく。  今度はさっきよりも深く挿れて、大きく回す。 「ああ、んっ……広げんなよっ……はずかし、い……」  言葉では恥じらいながらも、腰はユラユラと揺れていた。 「でもまだ欲しいでしょ? ここは待ってるでしょ?」 「そ、そんなことなっ……!」  強がりを言う口を黙らせるために、翠の腰を掴んでそのまま真下にズブっと差し込んだ。 「いっ……はああああんっ!!! や、やだっ! ああっ体っ震え……」  俺は翠の細い腰を両手で掴んで、そのまま思いっきり突き上げた。 「………!!!」  翠は言葉にならない声を漏らしている。  時折、「はあン」とか「あっやっ」と声は漏れるけれど、それ以上は話せなくなったみたいだった。  翠の体が、俺の体の上でガクガクと揺れるのを見ながら、何度も何度も突き上げた。 「あああン、はあ……ん、んーんんっ」  細かく震えながら、小さいけれど絶え間なく喘ぎが聞こえる。  その度に、びゅっびゅっと少しずつ白濁の蜜が飛び出てきていた。 「あ、翠……ヤラシ……凄いことになってる。ん……気持ちいい? 辛いの全部消えた? どんなに辛くなっても、絶対俺が全部消してやるからな」  目を見開いてガクガクと痙攣する翠の体を引き寄せ、夢中で口付けていった。  唇を離すと、翠は俺の首にしがみついてぎゅうぎゅう締め付け、強い快楽に飲み込まれようとしていた。 「あっ、あんっ! あんっ!! 蒼っ……あああー!!!」  そうやってお互いの快感を増幅しあって、また今朝のように二人で崩れ落ちた。

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