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第4話 声も。

 運転免許証なんて貴重品中の貴重品だ。本当は警察に届けなくちゃいけない。  でも、今日も昨日もうちに来たから、明日も来る可能性、大だよね。  貴重品だから、番頭役の俺が肌身離さず持っててもいいよね?  大義名分を手に入れた俺は、夜眠る前に、写真を眺めて瞼の裏と頭の中に画像を焼き付けることにした。  それで次の日を迎えたんだけど、午前中の早いうちに早速一本の電話が。  ルルル……。  受付で待っていた俺は、電話の着信音が鳴ったのにびくぅっとした。   「あ、電話ー」 「おっ俺出ます!」  もう一人の働き手のゆいちゃんという女の子が電話に気付いたが、俺が出る宣言をして、即座に電話を取った。ゆいちゃんは挙動不審の俺に首を傾げている。  だがその甲斐はあった。電話の向こうの声はまだ若そうな男性の声だ。 『あの……すみません。そちらに、運転免許証の落し物がないかと思って電話したんですけど』 「はっ、はい、こちらでいちまい運転免許証をお預かりしております!」  何を隠そう俺が拾ったんですが。とは言わずに、俺は相手の返事を待った。 『あ、本当ですか』  電話の向こうの声は少し明るくなったように聞こえた。そりゃ安心したに違いない。何せ運転免許証だから。 「お、お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」 『みつるぎ、けんです。』  やっぱり。ということは、この涼やかな声はあの人の物なのだ。 (こんな声なんだ……)  声まで格好いい。そう思うと俺は胸が動悸した。  俺は免許証の写真の彼をじっと見つめている。

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