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開幕 3
男は惚れ惚れと彼を見つめた。
跡をつけるわけにはいかないが、噛んだり吸いたくなる肌。
痩せてはいるが、美しい骨格からできあがったその胴体は、淡い乳首も美しい。
いましがた達したばかりの性器さえエロい。
両手両脚がないことさえ、いや、ないからこそ、そのためにそうされてんだってことが余計に男を煽り立てた。
女相手でもそうはならないのに、また男は勃起していた。
何回でもイケる。
「もう一回、な」
男は彼の腰を掴んだ。
肘や膝までで切り落とされた手足が拒否するように動かされ、舌のない口から呻き声があがり、視線だけで殺そうと睨みつけられた。
そんな抵抗さえ、いや、抵抗こそが心地良く、男はその暖かい、まだ自分の出したものが零れる穴に押し入った。
「すっげぇ、気持ちいいぜ」
男は彼に向かって笑いながら言った。
腰を回して味わいながら。
こんなに気持ちいいこと。
こんなに楽しいこと。
男は心の底から楽しんだ。
それはセックス以上のセックスだった。
してはいけないことをする楽しみ。
人を虐げる楽しみ。
人を物にする楽しみ。
何よりも、バレないから安全であることこそが、この楽しみの一番大切なことだった。
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