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グール 2

 僕はお金を貰って人間を「始末」する「始末屋」をしていたんだが、ある日突然、化け物になった。  不死身の化け物に。  まあ、それでも気にせずに、それどころか、いや、これは仕事には便利だな、と思っていた。  なので、仕事のために人を殺し、それとは別に、今まで通り趣味でも人を殺していた。     趣味でする殺しは拷問しながら殺すのが好き。  それも、好みのタイプの男を殺すのが好き。  僕は男が好き。  女はキライだ。  殺した後、その身体を犯したりもした。  殺した後はしたくなるから。  僕はセックスは楽しくしたいので、生きていて泣かれちゃうとつまんなくなって殺しちゃう。  僕は顔も身体もセックスもとってもいいので、楽しくする相手にも事欠かないのだけど、でも、途中でやっぱり殺したくなっちゃって、殺してしまったりもする。  結果殺して、死んだ身体とすることになるんだよね。  死体とするのは好き。   命が消えた身体には生きていた頃には感じなかった愛しさを感じてしまう。  死体には優しく出来る。  まだ暖かい身体が好き。  何の抵抗もない身体には清らかささえ感じてしまう。    で、化け物になっても殺して犯して楽しんでたのだけど、そんな僕に「国」から申し入れがあった。  化け物になったのは僕だけじゃなかった。  「捕食者」国の奴らは変化した僕をそう呼んだ。  不死身の不思議な能力を持つ化け物に突然人間が変化する。  どんな条件で変化するかは全くわからない。  いきなり僕がそうなったように、ある日いきなり変化する。  寝ていて目がさめたらそうなる。  不死身で、そして、不思議な能力を持ち・・・人間を殺しまくる。  無差別に理性なく、ただ人間をひたすら殺しまくる。  殺すことこそが全ての欲求であるかのように。  僕は化け物になっても、不死身なのと能力以外は何も変わらなかったが、他の捕食者達は理性を無くして暴れまくるらしい。   僕はそうならなかったことのは、僕が元々殺人嗜好の持ち主で、それを自分なりにコントロールできていたのがあるのでは、と考えられている。  とにかく、捕食者達を殺すべく、国も色々やってはみたらしい。  灰になるまで焼き尽くしたり、文字通りミンチになるまで撃ちつくしたり。  灰になっても、肉の一片になっても捕食者は死なない。  再生するのだ。  焼き続け、切り刻み続けなければならない。  永遠に。  突然どこかに人間から変化して、現れてくる捕食者に「国」は手を焼いた。  甚大な被害の結果、捕まえることが出来ても、その管理には危険がありすぎた。  一瞬も気を抜けない。   燃やし続けなければならない。  永遠に。  そして様々な「能力」。  人間の手に負えなくなるものも出てくることはわかっていた。  そして、他国での噂を聞きつけた。  他国では捕食者に捕食者を狩らせている、そんな噂だ。  「捕食者は捕食者しか殺せない」  そして、「国」は僕を見つけた。  殺人衝動に理性を失うことなく、仕事として殺し、趣味として殺人を楽しむ僕を。  プロフェッショナルに殺しを行える技術を持った僕を。  そして僕はスカウトされたのだ。  週に一度の「楽しみのための殺人」と高額の報酬を条件に。  「捕食者を狩る捕食者」として。  そこから僕は人間を守るために「捕食者」と戦っている。  でも、今日のコレは、週に一度のお楽しみだ。  「国」公認のお楽しみだ。  前までは自分の好みの男を街で見付けて拷問して殺して、その死体で楽しんでいた。  僕が誰を殺しても咎められることはない。  そういう条件だからだ。  でも、諸事情により、今は「捕まることのない悪党」を殺して楽しんでいる。  死体も犯さなくなった。  まあ、この辺りの理由はあとで。 僕はいくつも並んだロッカーの中から迷いなくその前に立った。  押し殺した呼吸。  僕には分かる。  恐怖の汗の臭い。  ああ、お漏らしもしているのか。  小便の臭いもする。  そして、死んだ人間の血の臭い。  これに惑わされてしまった。  死人の腸から零れた糞便の臭い。  これも、だ。  まさか、自分から死体の腸や血を纏うなんて、ね。  面白かった。  でも、終わり。   後、4分。  僕は右手の刀を振りかざした。  ロッカーごと斬ってやる。  僕が刀を振りかざした瞬間、ロッカーの扉が勢いよく開いた。  僕に向かって何か、いや、誰かがぶつかってきた。  迷うことなく叩き斬る。  脳天から股間まで、真っ二つに裂けたが思いの外血が吹き出なかった。  血は死んた人間の血液の臭いがしたし、僕に降りかかった血液は生きてる人間の血液のあの独特の熱さはなかった。  暖かいが、違う。  僕位になると、死人と生きてるヤツの血液の差が肌感覚でわかる。  ワインソムリエみたいなもんだ。  言っておく。  死体は食べない。  犯すだけだ。  それも死にたてだけだし、この数年はしてない。  だが、生きてる肌や血液には詳しいぞ。  医者以上に。  そう、死体だ。  コイツ、死体と一緒に隠れてやがった。  扉をあけて死体を僕に叩きつけたのだ。  身代わりにするために。  走り去る影が見えた    僕は楽しくなって笑う。  まだ生きようとしている。  まだ生き残ろうとしている  後4分。  本気で逃げ切るつもりか。 面白い    

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