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追跡 2
「お仕置き」は終わらなかった。
俺達はしようと思えばいくらでもセックスができる。
不死身だからだ。
何度でも出せる。
何度でも勃つ。
まあ、出なくなることもある。
あの人にエグいくらいにヤられたら。
それでも、しばらく休めばまたいける。
ただ、眠りが訪れて中断することはある。
オレ達は眠るからだ。
飲まず食わず、疲れることさえないけれど
俺達が眠るのは俺達の脳をリセットする必要があるからじゃないかとあの人は考えている。
とにかく、俺達はどこまでもセックスができる。
それがこんなにも・・・苦しい。
「挿れて・・・、お願い、挿れ・・・て」
俺は懇願する。
ベッドの上に這い蹲らせられている。
俺の両肩にはあの人が針をさしている。
両腕が動かないのはそのせいだ。
あの人はなんだかわからないそんなワザさえ使える。
セックスの時に使われたのは初めてだけど。
「ダメ」
あの人は楽しそうに言う。
楽しんでいるのだ。
俺の脚にも針は打たれていて、俺は脚も動かせない。
うつぶせのままベッドで動けない俺の尻を押し開き、あの人は俺の穴を舐めている。
綺麗なあの人の唇が、あの赤い舌がそこを舐めていると考えるだけでも俺のモノはみっともないほどに勃起してしまうのに、ねっとりと舐められて俺は叫び声をあげる。
ぴちゃり
ぴちゃり
いやらしい水音。
丹念に舐められる。
そのいやらしい舌の動き。
また俺のものは軽く白いものをはきだす。
もう何度出したかわからない。
でもたりない。
酷いくらい貫かれ、壊すほどにかき混ぜられることに慣れた身体には、ねっとりと優しく、いやらしい舌だけでは足りない。
「挿れてぇ・・・あんたの・・・チンポを突っ込んで・・・擦って・・・突いて・・・。俺のチンポ触って・・・擦って」
動けない俺は必死で懇願する。
もうどんなことでも口にする。
「ダメだよ」
あの人は楽しそうに言う。
俺は僅かに動く胴体を蠢かせ、せめてシーツに勃起したものをこすりつけ、刺激を与えようとする。
だけどそんなの、足りない。
もの足りなさに身悶えする。
またじっくり舐められる。
尻の肉を甘く噛まれもした。
「ああっ・・・」
震えるほど気持ちいい。
また前から零れる。
だらだら零れ続けている。
でも足りない。
せめて舌か指でも挿れて欲しいのに。
それは与えられない。
「欲しい・・・欲しいんだ」
俺は身体をのけぞらせ、ふりかえりあの人に叫ぶ。
両手両足を麻痺させられて、外にもどこかに針を打たれている。
身体は自由がきかない。
尻のところにいるあの人は見えない。
「ダーメ」
楽しんでいる声がした。
でも舐められた。
穴の襞をのばすように舐められ、舌で穴を撫でられる。
「ふうっ」
声をあげずにいられない。
でも足りない。
俺は泣きながら、わずかに動く腰を蠢かせ、穴にあの人の舌のをこすりつけ受け入れようとする。
ちょっとでも挿れてほしい。
音を立てて吸われ、歯で擦られ、声を上げるが足りない。
足りなさすぎる。
「中でいっぱい出して・・・ぐちゅぐちゅにして・・・奥をぐぼくぼ突いてぇ・・・あんたのチンポが欲しい・・・欲しいんだ・・・お願い」
俺は泣き叫ぶ。
今まで無理やり散々言わされてきた厭らしい言葉が次から次へと口から零れだす。
「もっと言えば・・・してあげるかも」
かすれた声であの人が言った。
あの人が興奮していることに、望みをかんじる。
もっとこの人が興奮したら・・・挿れてもらえる。
俺は後で後悔するぞ、恥ずかしくて死にたくなるぞ、とどこかでそう叫ぶ冷静な自分の声を聞いた。
でも、あの人欲しさに口を開く。
「俺のいやらしい穴にあんたのチンポを突っ込んで、泣き叫ぶまで突いて。あんたの硬いので広げていいとこを擦って泣かせて・・・いっぱい出して泡立つまでかき混ぜて・・・口の中にも出して・・・喉まで犯して・・・」
泣きながらそこまで言えば、あの人の息が荒くなる。
舌が僅かに穴をえぐった。
あの人も入りたがっている。
俺は欲しくて泣く。
後ろの、穴を広げて欲しい。
挿れて欲しい。
「・・・乳首はどうする?」
囁かれた。
声が掠れてる。
「吸って・・・噛んで。痛いくらいに。そこだけでもイカせて」
俺は泣きながらお願いした。
駆け引きなどない。
切実だった。
毎日毎日、普通の人間ならヤり殺されるようなセックスに慣らされた身体はもう、あの人無しでは満足できない。
この身体はあの人に仕込まれてしまっている。
あの人の手酷いセックスが好きな身体に。
「言って。僕が欲しいって」
どこか甘くさえある声。
「酷くして・・・壊してもいい」
本当に壊されるのに俺は言った。
あの人は手加減しない。
俺は死なないから。
ここから始まるのは、人間では耐えられないセックスだ。
「噛んでもいい?引き裂いても?」
優しく聞かれた。
「うん。うん」
俺は泣きながら頷いた。
何でもいいからしてほしかった。
「可愛い。可愛すぎるでしょ・・・もっと泣かしてやるつもりだったのに・・・」
あの人が呻きながら、俺に刺した針を抜いていく。
それと同時に身体が自由になっていく。
「言ってよ。僕が欲しいって」
あの人が甘えるように言った。
俺が自分から高く上げた腰をつかみ、熱くて堅いものを穴にこすりつけてくる。
欲しくて欲しくて、俺は腰をふり、受け入れようとする。
「俺のいやらしい穴にあんたのチンポを入れて、奥まで串刺しにして・・・めちゃくちゃに突いて、泣かせて・・・ザーメンいっぱいだして、お腹いっぱいにして」
俺は泣きながら言った。
「くそ。ここはマンションじゃないから・・・犬のヤツが喜んで聞いてるのか・・・」
小さい声であの人が何か言ってるけど聞こえない。
「お願い・・・挿れて!!」
俺は悲鳴を上げた。
「可愛い。お前可愛いすぎる!!」
あの人が切羽詰まったように声を上げ、尻を割開かれ・・・押し当てられ・・・・。
俺は期待に息をのんだ。
色んなプライドを捨ててまでのそれを待つ。
やっと。やっと。
あれ?
あれ?
バタンと音がした。
熱く侵入してくるはずのモノはなく、振り返った俺はあの人がベッドから落ちているのを見つけた。
え?
なんで?
俺は慌てて駆け寄った。
床の上に倒れたあの人は、安らかな寝息を立てていた。
あの人は・・・顔だけは天使みたいな顔をして、寝ていた。
あの、突然やってくるあの人の昏睡だ。
こんな、時に。
こんな、こんな、こんな時に!!
俺はあの人を抱えて叫びそうになった。
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