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追跡 11

 僕は目を開けた。  優しく頬を撫でられ、思わずその手を叩き落とした。  驚いたように目を見開くガキの顔がみえた。  ・・・・・・現実だ。  叩き落としたその手を掴んだ。  握りしめる。  「うなされてた」  心配そうな目でガキが言う。  「大丈夫?」  その問いにはこたえず、ガキの指を口に含む。   ゆっくりと舐めた。  ガキは吐息を漏らすけど、それより僕を心配しているのがわかる。  心配しなくていい。  お前が気にすることじゃない。  僕は甘い痛みを感じながら、ガキの腕を引っ張り、抱き寄せた。  薄く整った唇にキスをする。  ガキの顔立ちはシャープで、涼しげな目元まで含めて、整ってはいても甘くはない。  でも、この顔がいい。  感情を隠しきれない顔がいい。  ガキはすぐに応えてきた。  舌を絡め合い、深く奪う。    「どうしたの?」  心配そうにキスの合間にガキが囁く。  「黙ってろ」  僕は命令し、ガキは素直に従う。  可愛い。  キスしている間に思い出してきた。  ここは家じゃない。  ホテルの部屋だ。  そうだ。  僕はガキにお仕置きをしていて・・・、そうだった・・・。  自分の身体を確かめる。  ホテルのガウンを着せられていたし、髪や身体も洗われているのがわかる。  ガキがしたのだろう。  そういえば、途中だったと思い至る。   「ごめんね、途中だったよね」  唇を離し、両手でガキの顔挟み込みながら甘く囁く。  ガキはいやらしい言葉を叫ぶほどに追い詰められていた。  あそこで中断は可哀想すぎた。    ガキの顔が僕の手の間で真っ赤になる。      ああ、可愛い。   ここまで淫乱に仕込んでも恥ずかしがるガキのこういうところが可愛いすぎる。    「ん?自分でしたのか?」  僕は眠った僕の隣りで泣きながらオナニーしているガキを思って興奮した。   そんなもんでは満足できなかっただろうに。  ガキは一番奥をサディスティックに突いてやらないと満足できない身体になっている。  僕が仕込んでるからな。  ガキがさらに真っ赤になる.    「ん?」  僕は首を傾げる。     何この反応。  そういえばオカシイ。  不満足な身体をかかえて、僕に抱いて欲しくては耐えていたわりにはガキは平気そうだ。  あそこまで追い詰めていたのだから、ハンパなオナニーなんかでは治まらず、目覚めた僕にすがりついてお願いしてきてもいいはずなのだ。  まあ、触ればすぐに熱くなる身体はいつもの通りだけど。     真っ赤になったガキは目を泳がせていた。  なんで僕の目を見ない?  「ん?・・・お前」  僕はニヤニヤ笑った。  すぐに分かった。  「僕のを自分で嵌めただろ」   僕はガキの耳元に囁いた。     ガキの身体がビクンと震えたからまちがいなかった。  コイツ、僕の勃ってるのを使って、オナニー、いや、睡姦しやがった。  「我慢できなかったんだね」  優しく言えば言うほどガキが恥ずかしがるのを知っていて僕は優しく言う。     ガキの顔が羞恥で歪む。  顔を反らそうとするのを許さない。  はずかしくて仕方ないのだ。  そんな自分を認められないのだ。  どんなに仕込んでもかわらない。  そのくせいやらしい身体。  そんなガキが、可愛くては仕方ない。  「自分で跨がって、咥え込んで、腰を振ったんだ?奥まで欲しかったの?」  こんなことを聞かれて泣きそうになってるガキ程可愛いモノはない。  「めちゃくちゃに奥をぶつけた?その度にチンポから潮吹きながら?僕は意識がないのに?意識がない僕相手に?」  責めるように言えば唇を噛み締めて目を潤ませる。  自分の淫らさに対する恥ずかしさ。  僕への罪悪感。   そしてそれでも今興奮してしまうこと。  ガキの心が乱れることにさらに僕は興奮する。    お前最高。  もうガッチガッチに勃ってるよね、僕。      

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