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追跡 13

 「違う・・・ちがう」  僕は泣きながら叫んだ。  ガキの中に放ちながら。  ガキは僕の泣き声に意識を取り戻し、驚いたように僕を見たが、自分の中を満たされ、声を上げ身体を震わせる。  ガキが僕をしぼりとる。    僕は震えた。   今ここにある気持ち良さに。  そして、身体が覚えているガキが僕の中で放つ感覚に。  「違う・・・違う・・・」  僕は射精が終わっても、泣きながらまだ硬いままのそれでガキの中を擦っていく。  乱暴に八つ当たりするかのように。    「あんた、どうし、た・・・ああっ」  ガキが必死な目で僕をみて、指を伸ばそうとするけど、乱暴に突かれ、身体を震わし声を上げる。  ガキの中は暖かくて。  蕩けるようで、甘くて、絡みつかれてほしがられて、ここで感じる気持ちよさに溺れてるのに。    ガキが僕が擦りあげるリズムにあわせて、身体を震わせ、泣き声をあげる。    苦痛と快楽が溶け合い脳を焼いているのだ。  それに自分が重なる。  ガキに乱暴に突かれ、声を上げる僕。  また、中が疼いた。  ガキは乱暴になんかしない。  ガキは優しくでも熱く僕を求めて、僕の中をかき混ぜる。  その感触を僕は知ってる。  ゾワリ、身体が震えた。  「違う!!」  僕はガキを激しく突き上げる。  サディスティックに、ひたすら闇雲に腰を打ちつける。  「どうし、・・・ああっ!!」  ガキは必死で腕を伸ばそうとする。  僕が心配なのだ。  でも、激しく責められ、身悶えてしまう。  それでも、その目は僕を見つめる。   快楽に溺れそうになりならが、必死で僕を心配してる。     それが嬉しい。   どんな快楽より先にガキには僕がいる。  でも、僕にめちゃくちゃに突かれて、感じているガキに、僕は自分を重ねて憤る。  ガキは悪くない。  何も悪くない。  「本当は入って欲しい」  パジャマの言葉が聞こえて僕はキレる。  「違う!!!」  もう快楽とは違う嗜虐が満たす。     それでも僕の中は疼く。    ガキが震えながら伸ばしてくる指は優しく僕の頬を撫でて、その目は欲望に溺れてはいたけど、僕を間違いなく心配してくれているのに。       ガキの中は気持ちいいのに。  ガキが可愛いのに。  可愛いのに。  可愛いのに。  可愛いんだ。  僕は八つ当たりのようにガキを貪った。  肩に噛みつき、肉をえぐった。  ただ酷くするためだけに深く貫き、叩きつけた。  乳首を噛みきった。  ガキはもう苦痛の声だけを上げていく。  いや、それでも、そこにある甘さ。    ガキは突かれることを求めている。  擦りあげて、突いて、捏ねられる。    僕はわからなくなる、自分がガキを犯しているのか、ガキに犯されているのか。    どこかに穴があいたように、満たされなかった。  僕はガキを酷く貪り続けた。  いつものように可愛いすぎて酷くするのではなく、酷くするために酷くしていた。  違う。   違うのに。  可愛いのに。  可愛いのに。  許して。   僕は血まみれのガキを抱き続けていた。    僕はベッドに座りうなだれていた。    ベッドの上には血塗れのガキが寝ている。  ベッドは大量の血でむせかえるような匂いがした。  生臭い、血の匂い。  ガキは再生を待っている。  噛みきられた喉は肉が蠢きあい、繋がり、もう血は止まった。    へし折った腕はもう繋がっていて、有り得ない方角をむいてはいない。   噛みちぎった乳首も、今は元通りだ。  ただ、流した血は戻ることはない。  だからベッドはびっしょりと濡れて、赤黒く光っている。  犬を呼んで始末させないと。  僕はそんなことを思った。  ガキの身体は再生する。  綺麗になおる。  それほどはかからない。    でも、そういう問題じゃない。  それくらい僕にもわかっていた。  僕は。  恋人を。  恋人を噛み千切り、腕をへし折った。  僕が本気で痛めつけるならこんなものでは済まないけれど、そういう問題じゃない。    八つ当たりだって良くしてるけど、コレは違う。    コレは違う。    いつもの可愛い過ぎて酷くしてしまうそれとも、八つ当たりや嫉妬してガキを困らせてのとはわけが違う。  例え、このベッドを同じように血で濡らしたとしてもコレは違う。  僕は両手で顔を覆う。    コレは。  コレは。  違う。  取り戻しがつかないことだ。   

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