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反撃 7

 「グズもういい。・・・続きは後だ。」  まだ夢中でしゃぶってる、グズの頭を押しのける。  グズは不満そうだったが愛しげにオレの性器の先にキスしてやっと顔を離した。  可愛くなってしまうのは仕方ない。  そんなにオレのチンポが好きか。    「後で、な」  声か甘くなるのは仕方ない。  離れる前のグズの髪を優しく撫でた。  オレだってグズのを後ろに突っ込んで、思い切り強く貫かれたい。  今のオレ達にはセックスと人肉が与えてくれるもの以外は何の感覚もない。  あの人への感情を別にすれば。    ずっと人間を食ってセックスしていたい。     だが、ここで追ってくるやつをなんとかして生き残らないとそういうわけにもいかないからな。  肩を撃ち抜かれて泣いてる組長へ目をやる。  「逃げるからだよ、組長さん」  オレはグズがオレのズボンを引き上げ、ベルトを止めてくれるのをそのままにして、銃口を向けたまま言う。    怯えきった瞳。  この男はこの目で見られていた側だった。    でも、今は違う。     この男も怯えて見る側だ。  「グズ、腕の一本くらい喰ってもいいぞ。組長さんに教えてやれ」  オレは言った。  オレ達が何なのか、  を教えてやれ。   グズは優しい。  グズやオレの歯は生きたままの人間の肉を噛み千切れる程強い。  オレとしては組長に腕から肉を一口づつ噛み千切られを見てもらいたかった。  そして自分の身体から暖かい血が流れでるのを感じてもらい、耳元で自分の肉が咀嚼される音を聞いてもらいたかったのだ。  今必要なのは恐怖だ。  人間を従わせ支配するための道具としての。  だが、グズはそうしなかった。  優しいからだ。  鉈ですっぱり組長の腕を切り落としてから喰ってる。  しかも組長のネクタイで切り落とした腕の付け根を縛り、止血までしてやる気のつかいようだ。    グズは殺し喰うとなったら躊躇はしない。  だが、獲物で必要以上には遊ばない。  せいぜいオレがバイブ代わりに、殺す前の獲物の身体を使って楽しんでいたら、ヤキモチをやいて一緒に参加してくるくらいだ。  せっかく挿れてるのに自分のまでねじ込んでくる。  まぁ、それはそれで気持ちよい。  組長は喰ってはいけない理由があるから喰うべきものではない以上、グズはそれなりに扱いたいんだろ。  やれやれ、だ。  甘いんだよ。  オレはため息をつく。  だがオレはグズが可愛いので黙っておく。  オレにしてみれば甘いが、それでも組長はバリバリフランスパンでも齧るみたいに自分の腕をもって齧るグズに怯えてはいるし。   まあ、いいか。  本来、手首まで入れ墨の入った、毛深い男の腕など食欲のわくものではないだろう  でも今の俺達には、皮膚の下の肉と血の甘さを思って舌なめずりするものとなっている。 グズと目があった。 グズは腕の手首から先をちぎって投げてきた。 オレにも分けてくれるわけだ。  ホント、グズは優しい。  オレは小さく笑った。  グズの優しさは嫌いじゃない。  オレに向けられている限りは。  それに組長の持つ知識はオレも欲しかった。  組長の口からでる嘘よりよっぽどこちらの方が役に立つ。  オレも組長の指を齧る。  オレ達は骨すら齧る。  全てを喰らい尽くす。  頭以外は。    ガキッ  骨を潰しながら肉を咀嚼する。  肉がとろけるように甘い。    血液の味がどんなソースよりも豊かに肉を彩る。  オレは組長の目を見つめ続けながら組長の指を、爪を骨を、手のひらを喰っていく。   フェラするように中指を口の中で咥えて、見せつけるように舐めてから、また喰う。  骨を砕く音、肉を引きちぎり、咀嚼する音だけが部屋に満ちた。  それと同時に組長の持っている情報が頭の中に入ってくる。  それを飼い慣らす。  喰い消化し、自分のものにしていくのだ。    この辺の仕組みはわからない。  必要な時に脳の中の引き出しから、それが出てくるって感じだ。    さて、本題にはいろう。  「オレ達を飼わないか?」  オレは組長のそばに腰を下ろしていった。  その指を齧りながら。    「派手な挨拶になったけど、あくまでもこれはデモンストレーションだ。あんた達を殺したいわけじゃない」  オレはできるだけ優しい声で言った。      

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