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破滅の音9

 「組長はもう死んでいる、か」  僕は呟く。  やっと射精にいきついた男は、色鮮やかな入れ墨をまとった身体を弛緩させ、肩で息をしていた。  出したばかりの濡れた性器に触れたなら、高い声で鳴く。  気にせずまた扱き始めたら、女のように泣き始めた。  面白い位、話してくれた。  グール共は組織を乗っ取っていた。  金の流れや仕組みを理解し、恐怖で支配した。  そう、実にヤクザよりもヤクザらしいやり方で彼らは組織の乗っ取りをやってのけていた。  奴らは喰って知識を吸収するからウソなどつけるわけがない。 腕や脚だけでも食われたなら、すべての情報を差してしまう。  最初にトップである組長を喰うことで指揮系統を破壊するやり方も、乗っ取りのやり方としては悪くはない。  むしろ、頭だけすげ替える方が早い。  「・・・もっと・・・もっとくれ・・・」  男は自分のモノを扱く僕の手にすがりついた。  指だけだ。  背中の入れ墨をなめてやった以外は指しか使っていないのにコレだ。 後ろも弄って欲しいのだ。 女のように喘ぎたいのだ。 こんな悪そうで、女を泣かせるのが似合っているような男が。  自分のテクニックにはつくづく感心してしまう。  もちろん、僕の外見あってのテクニックだ。  美しい僕に囁かれ、見つめられ、指で溶かされたなら、何もかも明け渡すしかないのだ。    そして、もっともっとして欲しくなる。     「して欲しい?」  僕はすっかり蕩けてしまった男の顎をつかむ。  男は必死で口元にある僕の指や手を舐める。    「してくれ・・・あんたのためなら何でもする・・・だから・・・」  必死な目で、悪く凶暴だったはずの男が懇願する。    喜んで、僕の足の指から性器までしゃぶるだろう。   喜んで脚を開き、「突っ込んで欲しい」と強請るだろう。  強面の男のプライドなどかなぐり捨てて。  ちょっと、そうしたい気もしたし、黙ってたらバレないし、なんなら刻んで剥いで殺してしまえばいい、とかかんがえちゃったけど、耐えた。  浮気はしない。  しないんだからね、ホント。  「ヤツらは何を狙ってる?」  代わりに質問する。  男の口の中で指で口蓋を撫でてやった。  穴の中のそこを擦るように。 口の中にも気持ち良い場所があるのを教えてやる。 可哀想に、嫌々組長のモノをしゃぶってただけだっただろうから、口の楽しさはまだ知らないだろう。  男の性器から、まるで口ではなくそこを擦られたように蜜がこぼれ、男は呻いた。  「信じられな・・・い、口だけで・・こんな」  男は喘ぐ。  僕は我慢強く返事を待つ。  「不思議なんだ・・・のっとりはしたけど・・・特に何も要求・・してこない・・・むしろ組長の時より締め付けがないから・・・実のところ皆喜んでいる・・・」  男は必死でオレの指をしゃぶりながら言った。  こんなに旨いものはないかのように、夢中でしゃぶりながら。  この指で擦って欲しいのだ  僕は笑った。  口の中だけでイカせてやろう。  ご褒美だ。  

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