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殺戮の歌 1
「警察署と消防署は抑えたか?」
オレはインカムに向かって言った。
「制圧したよ」
ゲスの声がする。
ゲスも楽しげに笑っている。
こいつもずっとこうしたかったのだ。
ゲスはオレ達とは違い、身体が動かなかったわけじゃない。
こいつだけはオレが手足の自由を奪ってから、あの人の力で仲間にした。
オレがスカウトして、本人の希望で仲間になったのだ。
だがこいつの生い立ちもさほどオレと変わりない。
生まれ落とされ、大人達の性の玩具にされ、成長してからは殺人の才能をしめしたから、性的玩具のままだったオレとは違って、今度は殺したり壊したりするための道具にされてただけだ。
オレ達と変わらない位この世界と人間を憎んでいる。
だがコイツの場合は自分を生んだ母親への憎しみが強すぎて人間の中でも、女の方をより憎んではいる。
だか、仲間の女達には一応手を出さないようにはしているところから、人間の女、そう、人間の方がより嫌いなのは間違いない。
それに、まあ、オレ達がなってしまった化け物になってしまえば男女も戦闘能力には性差がないってのもあるだろう。
人間の女とは違って簡単に殺されたりなんか、オレたちの女はしないのだ。
オレ達の女なら、ゲスの方が逆に殺される可能性もあるのだ。
ゲスも当然、そこは慎重になるだろう。
「今日は趣味は抑えておけ。何人殺して喰ってもいいが時間はかけるな」
オレは言う。
ゲスがため息をついた。
おそらく、婦警を捕まえて、犯していたぶりながら食いたかったのだろう。
だが、ゲスはそこはプロで殺しをやってた男だ。
ちゃんと納得する。
「まあ、婦警プレイはいずれ楽しむさ。それにオレはホントはデッカいのをつっこまれる方がいいんだ」
ゲスの言葉にオレは笑う。
ゲスは人間の女を犯しはするがそれは苦しめるためだけで、楽しむためには自分がぶち込まれる方が大好きなのだ。
オレと同じ、男に抱かれるのが大好きな男なのだ。
「それはオレもだよ、で、署員は全員閉じこめたのか?」
オレは報告を求めた。
「一人にサンプル用のアレをくくりつけて、爆発させたよ。この部屋を出たらこんな風に部屋ごと吹き飛ぶってね。みんなおとなしく、集めた部屋にいるよ。爆発させちゃったら食べられなくなるのが残念だから大人しくしといてねって、やつらの一人を食べながら言っておいた」
「食べただけか?」
「・・・ちょっとたたせて、使ったけどな。大丈夫、ちゃんともう一人が見張って・・・わかったよ。もう、しない」
ゲスはしぶしぶ言った。
警察署の制圧にゲスを選んだのは恐怖を与えるのにコイツのゲスさが最適だったからだが、気をつけないと作戦から離れかねない。
コイツはプロだが、コイツは恐怖を与えて殺す方のプロだからだ。
やりすぎてしまう可能性がある。
だが、署員達は目の前で一人が爆発物で吹き飛ばされたり、セックスさせられながら喰い殺されたりするのを見たのは十分な効果はあったはずだ。
これでこの街の警察署や消防署は無力化した。
全員を一室におしこめて、その部屋を出たら建物ごと爆発するようにしている。
部屋の中をモニターしているカメラに怪しい動きが見えたなら、爆破。
モニターから何も映らなくなっても爆破。
別に今すぐ全員殺してもいいのだが、こいつらは外から来る警察等への人質なのだ。
警察官は警察官の死には敏感だからね、まあ、そらそうだけど。
「しかし、アレは良く出来てるぜ。ちゃんと人一人だけ吹き飛ばした。他の何にも影響なかった。ものすごい正確だ。喰っちまったのがもったいなかったな」
ゲスは感心していた。
オレ達が使った爆弾魔だ。
今じゃオレ達の知識の一部になった。
この繊細な爆弾を作るのは喰って得た知識ではダメなので、爆弾を作らせてからくった。
どこに仕掛ける等の知識は喰って得た知識で十分だった。
まあ、確かに。
もう少し生かしておいても良かったかもな。
でも人間を生かす理由はない。
「モニターは彼女に任せてお前は次へ行け」
オレは言った。
モニターはグズに命令してセックスさせてる彼女が行う。
空から飛ばしているドローンの操作も含めて。
彼女はこの街の一室でこの街を監視し、報告してくれる。
彼女にはそのために必要な知識を持つものを喰わせている。
「了解」
楽しげにゲスはいった。
署員をくったゲスはまた知識を増やしたはずだ。
オレ達が悪鬼らしく手当たり次第に喰っていくと思ったか?
オレ達は実にスマートに計算しながらこの殺戮を行う。
能力の限りを尽くして暴れても、殺せる量はたかがしれている。
オレ達は沢山殺す。
殺すだけ殺して・・・。
ここを離れる。
そしてまた余所で沢山殺す。
闇に潜り込む知識も今ではある。
この街を壊滅させる。
効率的に。
オレ達はテロリストだ。
主張などない。
殺すことだけが目的のテロリストだ。
ああ、そう。
病院やそういう施設は襲わない。
自分から動けない人間だけは見逃してやる。
オレ達の主張はそれくらいだ。
後は死ね。
一人でも多く死ね。
殺すことをオレ達は楽しむ
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