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殺戮の歌 2
僕はブチ切れ寸前だった。
それはそうだろう。
恋人が、僕に内緒で他の男と会っていて、しかもソイツに刺されたって聞いたなら、僕じゃなくてもキレるだろう。
僕がガキを置いて闇を嗅ぎ回っている間に、ガキを可愛がるのもそこそこにしている間に、それでも夜は絶対に泣かせてはいたけど、ガキは僕に内緒で他の男と会っていた。
内緒でだ!!
緊急連絡用の携帯にガキが刺されたと連絡があって驚いた。
まだ奴らはうごかないと思っていたから甘くみてた。
ガキはそうそうやられない。
やられたところで簡単には終わらない。
やさしげにみえるがコイツは骨の髄までアスリートなのだ。
その身体が少しでも動く限り勝負を捨てない。
そういう風に出来ている。
そういう意味ではガキ以上の化け物を僕は知らない。
ガキは動きさえすれば、指一本だけになってもたたかう。
だけど、あっさり刺されて動けなくなっていただと?
考えられるのは2つだ。
ガキ以上の腕があるヤツに隙をつかれた。
例えば僕レベルのスゴ腕だ。
もう一つはガキがソイツを信頼していて、油断していた、だ。
ガキには用心を叩き込んでいる。
街で歩く間も気を抜かないはずだ
ガキに気づかせないほどの腕となるとそうはいない。
それ程のヤツなら動く前に何かしら情報があるはずだ
となると。
となると。
ガキは・・・・僕に内緒で会っていただれかに刺されたのだ。
信頼して油断しきっていた相手に。
僕の頭の中で血液が煮える。
脳を焼き付かせ、何も考えられなくなる。
これは怒りだ。
ガキがソイツと何かしたかなんて疑ってはいない。
ガキがそんなことをするはずかないのはわかっている。
でも誰かを信用していた。
油断するほどに。
そんなの許せない。
嫌だ。
僕だけじゃないと嫌だ!!
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