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V.S 2
「あちらさんは全員殺されたようだ」
犬が言った。
犬の表情はない。
犬は主張していたからだ。
グールは「捕食者」ではないから、「僕」に任せるべきではないと犬は上の連中に言ったのだ。
グールは「捕食者」と同じ位危険だし、一刻もはやく殺さねばならない、と。
でも、上は無視して、僕にではなく、警察にグールを任せた。
そう、取引に応じたのだ。
上の連中のスキャンダル、過剰な暴力を楽しむセックスを提供する「店」に行っていたことを黙る見返りに「グール」の存在を黙認する取引を「組」としたのだ。
まあ、結果「組」はグールに乗っ取られた。
そして、街は乗っ取られ、武装した警官隊はグールに殺された。
警察署、消防署は機能を停止され、全員拘束され
小学校、中学校、ショッピングモール、繁華街。
多数の人間が閉じ込められている。
まあ、犬の表情は消えるだろう。
グール達より、まず殺したいのは上の連中だろうからだ。
内心は怒り狂ってるだろう。
だが犬は感情を表さない。
だから逆に表情が無い。
訓練された犬は飼い主を裏切らないからだ。
飼い主には吠えない。
どんな飼い主であっても。
コイツはだから犬なのだ。
「へえ?」
僕は楽しげに犬が差し出したパソコンにあるその動画を見る。
犬の部下が武装警官隊をドローンで追っていたのだ。
そして撮影していた。
突如空からあらわれて、鉈を振り回し、警官達をころしていくグール達の動きは悪くなかった。
ガキの動きに似ている。
だが、色んな要素がそこにはあった、
沢山の人間の身体の特質の要素が、最適な形でその瞬間瞬間に発揮されているというか。
バレリーナのように身体のバランスをとれば、キックボクサーのように蹴り上げる。
・・・・・・喰った人間達を吸収して融合しているのだ。
これは面白い。
コイツらは喰えば喰うほど強くなるのだ。
そして最後に全員殺した船をの上で立ったままセックスを始めたところが一番おもしろかった。
ダルマは思った通り、いやらしい身体をしていて、淫らに迷子の性器を受け入れていた。
コイツ・・・。
刻んで殺してから抱きたい・・・なんて言わない。
言わないからね。
僕はガキだけだから!!
お前だけだから。
僕は心の中で言う。
でも、いやらしく咲いた乳首とか、白い光るような肌とか。
・・・・・・ダルマは確かに美しかった。
刻んで殺すのが楽しみになった。
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