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V.S 11
「あの人は?」
オレは彼女に聞く。
インカムの向こうで彼女が笑う。
オレがあの人のことばかり気にしてしまうのが面白いのだろう。
オレは真っ赤になる。
このオレが、照れるなんてことをしてる。
誰とでもセックスする、このオレが。
でもそうなんだから仕方ない。
あの人が何をしてるのか知りたくて仕方ない。
「さっきまでベランダで寝てたけど、今は部屋で猫と遊んでる」
彼女は教えてくれた。
猫はあの人が拾ってきた。
オレは猫なんかどうでもいいけど、あの人や彼女やグズは夢中になっている。
猫に話しかけているあの人を思ってオレは微笑んだ。
猫はどうでもいいが、猫といるあの人は見ていたいのだ。
「そうか」
オレはそう言った。
その時、乳首を緩く指で擦られ、思わず声がでてしまった。
ため息をつく。
グズの指だ。
まだグズはオレの身体を綺麗に拭いても名残おしそうに撫で回しているが、いい加減止めないとな。
グズの唇に指を当ててキスするのを止めさせようとするが、その指を舐められる。
「グズ!!」
オレは怒鳴る。
彼女がオレの声に笑う。
「真面目にしなきゃダメだよっていっておいて」
彼女はオレに言う。
オレがグズのインカムを使っているので、彼女はグズに直接話せないのだ。
「真面目にしろって彼女が言ってるぞ」
オレが叫ぶとグズはやっと手を止めた。
グズは彼女には弱いのだ。
「・・・・・・あの人を連れて来てくれるか?」
オレは悩みながら言った。
これは予定とは違う。
彼女が必要になるかもしれない。
グズがオレを鋭い目で睨む。
お前でもそんな目をするんだな。
でも、不快ではなかった。
「捕食者をなんとかしたい。捕食者さえいなくなれば誰もオレたちを止められない。万が一のためだ」
オレは彼女にお願いした。
そう、お願いだ。
でも、そうしてくれると知っていた。
捕食者がいる限り、捕食者がオレたちを追う限り、オレたちに未来などないからだ。
「守ってくれる?」
彼女がしばらく黙ってから言った。
「絶対に!!」
オレは心の底から言った。
オレたちには未来がいる。
未来が必要なのだ。
化け物なりの未来が。
「・・・・・・おれが守るよ」
グズが彼女の声が聞こえたかのように言った。
オレはグズに向かって微笑んだ。
グズは分かっているのだ。
グズは、複雑な顔をしてオレに服を手渡した。
オレは服を着た。
「始めるぞ」
オレは告げる。
そう、始めよう。
オレたちの未来のために。
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