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V.S 13
オレ達は一斉に銃弾を倒れた捕食者に向かって撃つ。
弾が切れたら弾倉を入れ替え、また撃つ。
途切れることなく撃つ。
全員で撃つ。
だが、捕食者は銃弾の衝撃に身体を痙攣させながら立ち上がる。
美しい顔の額には穴が開いていた。
しかし、捕食者は平然としている。
あの従属者とは何もかもが桁違いだった。
凄まじい速さで身体が再生していく。
顔面に何発も弾を打ち込んだ。
顔面が弾ける。
でも飛び散った肉片がものすごい速さで戻っていく。
まるでフィルムの逆回しのように。
不死身の化け物。
オレ達などとは全く違う。
本当に不死身な化け物。
圧倒的に違う。
捕食者は弾丸の中で笑いさえした。
赤い唇の色だけが残る。
でも、いい。
これでいい。
オレはポケットから手榴弾を取り出す。
どんなに再生するスピードが速かろうと、肉体自体の耐久性は人間と変わりないのだ。
一度吹き飛ばしてやる。
バラバラになれぱ、すぐには攻撃できない。
その間に。
オレは手榴弾を投げた。
手榴弾を投げた瞬間、ふわりと黒いコートが宙に舞った。
捕食者が宙に浮いたのかと錯覚した。
いや、それでも浮いたのはコートだけだとはわかっていた。
次の瞬間、手榴弾が爆発した。
人一人吹き飛ばすように調整された爆弾だ。
しかし、手榴弾が爆発した瞬間にコートは床に落ち、そこにはもう捕食者はいなかった。
誰もいない空間で、コートだけを爆弾は粉々にした。
コートにオレ達の視線を集めてみせて、その隙に逃げたのだ。
あの捕食者は・・・オレ達の視線さえコントロールしているのだ。
そう爆弾は床に穴を開けただけだった。
どこに消えたどこに?
首だけになったゲスが床に転がりながら、とても書けないような言葉で消えた捕食者を罵っている。
罵ったところで、どうにもならないだろう。
また捕食者は消えた。
オレ達より圧倒的に強い捕食者が。
おそらく、一人一人ころして行くつもりだ。
気付かれない間に近寄れるのだあっちは。
嫌な汗が出た。
でも、オレにはわかっていることがあった。
オレは全員に命令した。
「呼吸を一切するな」
これで上手くいくはずだ。
手足のまだないゲスの尻をクズが押し広げ、挿入し、こすりあげる。
仲間の一人がゲスの乳首を舐めている。
「痛ぇ~、痛てぇよぉ!!」
ゲスは泣き叫ぶ。
肉を食い破りながら生えてくる腕や脚のせいだ。
血を流しながら、腕や脚は身体の内部から生えてくる。
オレ達は首さえあれば身体なんていくらでも生えてくるが、それには凄まじい苦痛を伴う。
クズがゲスの中の良いところを性器をつかって擦ってやる。
「ああっ・・・いいっ・・・痛ぇっ」
いいのか痛いのか、どっちなのか解らない悲鳴をゲスがあげる。
めちゃくちゃわかる。
こうやってセックスで紛らわしても、痛いものは痛いのだ。
それでも、クズのチンポがお気に入りなゲスは、クズに激しく突かれて白目を向き、ヨダレを流す。
もう生えている性器は突っ立てたまま、ずっとダラダラと白濁を流し続けている。
「早くしろ」
オレは言う。
「呼吸止め・・・ながら・・セックスしたり、再生すんの・・・難しい・・んだよ」
ゲスがうめく。
オレ達は今、一切の呼吸を止めていた。
そうオレ達は今誰も呼吸をしていない。
オレ達はセックスと喰うこと以外の身体の感覚はない。
再生以外では痛みも感じない。
当然酸欠の苦しさもない。
止めたところで何も問題はないのだ。
オレは捕食者に対処する方法を考えついたのだ。
オレの中にある捕食者の知識や、身体の訓練の知識、喰った連中のくれた全ての知識を使って。
オレの仮説。
捕食者は呼吸を読んでいる。
と言う結論だった。
身体の動きは呼吸と連動している。
呼吸を読み、瞼を閉じた僅かな瞬間に動きながら捕食者は近づいてくる。
呼吸を読み、オレ達の次の行動を予測して動いてくる。
捕食者は本の先のページを読むように、オレ達の行動を読んでいるのだ。
呼吸を読むことによって。
「咥えてやれ、ちょっとは紛れるだろ」
オレは女の仲間に言った。
女の仲間は頷き、ゲスの身体へとかがみ込む。
オレ達はセックスが大好きだ。
人間相手だとすぐころしてしまうから、仲間同士のセックスが一番好きだ。
オレは本来女相手だと立たないけれど、皆でぐちゃぐちゃになってやってる時は、相手が誰かもわからなくなり、女相手でもやってる。
皆で溶け合うようになるセックスはあれはあれでいい。
クズの独占欲にがんじからめにされてするセックスも今じゃ嫌いじゃないけどな。
クズは・・・今じゃオレだけじゃない。
それならオレは安心してグズと二人だけでもセックスできる。
ゲスはクズに尻を犯され、他の男の仲間に乳首や唇を舌や唇で愛撫され、今、女の仲間に性器を咥えられた。
ゲスには最高の快楽だろう。
いや、ゲスだけじゃない。
オレ達はセックスこそが最高の快楽だ。
殺して食うこと以外では。
「さっさと身体を再生させろ」
オレは冷たく言い放った。
「うるせぇ・・・ああっ・・・イイッ・・・うぐぅ・・・いてぇいてぇいてぇ!!!」
ゲスはそれでも喚きながら、何度も放ちイキながら、手足を生やしていく。
呼吸を止めてから捕食者は現れてこない。
やはり。
オレは笑う。
オレの考えは正しいのだろう。
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