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V.S 14

 「臭いはするか?」  オレは一番敏感な仲間にきく。  オレ達は臭いはわかる。  喰うための器官として。  血の臭いを嗅ぎとれる。  自分の血を流し、ゲスの血を浴びた捕食者の気配はともかく、臭いはかぎとれるはずだ  「しないよ。すぐ近くにはいない。少なくともこのフロアには」  仲間の女が応えた。    オレの目の前でクズが呻き声をあげ、ゲスの中で果てていた。  小刻みに腰を動かすクズはオレを食らうような目で見つめながらイく。  オレの名前を呼びながら。  グズはオレを抱くつもりでゲスを抱くのだ。  その執着心が心地良かった。  今では。    ゲスのモノを下敷きになり、受け入れていた女が声を上げた。  ゲスのでイったのだ。  ゲスに口にくわえさせていた男も体を震わせた。    ゲスはくぐもった声をあげて、完全に手足をのばした、腕や脚は生えきった。  血にまみれた腕が空をつかみ、のばされた脚のつま先が丸まる。  痛みをこらえてクズは中でも前でもイっていた。  皆、それぞれ満足しただろう。  セックスしてない連中は不満だろうが、仕方ない。  捕食者の警戒が最優先だ。  「どうする?」  女の仲間が言った。  彼女は一人孤独に死ぬことになっていた老女だった。  今は違う。  美しく若い、オレ達の仲間だ。  銃を構え、見事に動き人を撃ち殺せるし、素手で引き裂くこともできる。  「彼女を呼ぶ」   オレは言った。  その言葉にクズがゲスの中から自分のモノを引き抜きながらこちらを睨む。  「一応のためだ。仕掛けるぞ。人質を傷つければアイツは出てくる。そこで上手く罠にかからなけらば・・・彼女の出番だ。大丈夫だそんな目にはあわせない。オレ達には彼女が大切だからな、一応だ」  オレはクズを宥めるように言う。  クズは複雑な顔をした。  オレは微笑む。  オレだけでは無い存在がいるクズに安心して。    そう、お前はもうオレだけじゃない、それが嬉しい。  「あの人は?」  女が聞く。  あの人も呼ぶか。  一人で置いておく方が危険だろ。  あの人は何一つ出来ないんだから。  オレ達を作り出し、受け入れてくれる以外にはあの人は何も出来ない。  でもそれ以外何がいる?    「呼ぼう。さあ、始めるぞ」  オレは手を叩いた。  仲間達はみんなこちらを向いた。  人質を傷つければ捕食者は出てくる。  正義の味方だからな。  そこで、やってやる。  「グズ、一人引っ張り出せ」  オレはクズに言った。  グズはズボンだけを履いた姿で、無表情のまま頷いた。  見事な上半身が露わになっている。  筋肉を撫でて唇で愛撫して、舌を這わせたくなる身体だ。  オレは欲情する。  また・・・後で。  これが全部終わったら、何日でもぶっ続けて繋がっていよう。  オレの視線にグズは気付く。  少し笑い、そして、また表情を無くす。  グズは本来こういうのは嫌いだ。  コイツは食べ物で遊ぶのを嫌う。  さっさと殺して、さっさと喰う。  人間で楽しんだりしない。  でも、今、クズが何を感じていたとしても、それはどうでもいいことだ。   グズはする。  クズもオレも生き残らないといけないからだ。  オレ達は血の臭いを警戒する。  血の臭いは捕食者の気配だ。  自分の血とゲスの血にまみれた捕食者があらわれるのを捉えるために。  ドアに仕掛けた爆弾のスイッチを一旦無線で切り、グズは人間共を閉じ込めたドアを開けた。    そして、中に入る。  そして、毛布にくるまられたそれを抱えて出てきた。  それでいい。  これでいい。  さあ、捕食者、どうする?      

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