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#14 秘密の関係

「──そろそろ、来てくれると思ってたよ」 「天使様は何でもお見通しですね」 「……その言い方はやめてくれるかい?」 「やだなぁ〜、冗談だよ、クレオ」  ここは城の外れの天使の塔、最上階。  クレオはアルムに軽く肩を叩かれ、ふっと力が抜けたように笑い、メガネを外した。  ──押し殺したような声と、皮膚のぶつかる音だけが、部屋に響く。静かだが激しい2つの息遣いが、部屋の温度を上げていくようだ。 「んっ……アルム、はぁ」  アルムはクレオの頬を包み込むように手を添え、深く口付ける。それに応えるように、必死に舌を絡めるクレオ。 「ぷはぁっ……アルム、いつもより硬い気がする」 「ふふっ」と笑うクレオに、アルムは耳元で囁く。 「お前は誰ともヤらない、からな……! 特別な感じがして、興奮する」  パンパンと一定のリズムで腰を打ちつけるアルム。 「っ……1人、可愛がってあげてるのが、いるよ……? っはぁ」 「ヤナギさんだろ? でもあれは遊びみたいなもんだから、ノーカンだ。んっ……」  クレオの顔を引き寄せ、再び舌を絡める。  クチャ クチュ…… 「ん〜、はぁ、きもちい」  トロリとした表情のクレオを、愛しく見つめるアルム。 「お前は……どう思ってる? 俺は他でもヤってるから……」 「私の元へ来るための口実作りだろ?」  ズズ……とアルムのものがクレオから引き抜かれる。 「さすがお前は、なんでも知ってるな。おかげで俺はすっかり〝玩具プレイ好き〟が定着しちまった」  ちょっと嫌そうな表情で、アルムは言う。 「それは良いことだね。君も私の玩具で躾けてあげようか?」 「バカ言うな。俺はこれで十分」  クレオの勃ったそれをつーっと指でなぞるアルム。 「ふふっ……じゃあお望み通り、挿れるね」  自然な動作で攻守交代。クレオが自身のものをアルムに当てがう。 「待っ……ちゃんとほぐしてから──!」  クレオのものが半分ほど無理矢理ねじ込まれ、アルムは痛みで声を失う。涙を滲ませながら、クレオを睨んだ。 「いっ……てぇ、クレオお前……!」 「へぇ……アルム、そんな顔も出来るんだ」  上から見下ろすクレオの目が、はらりと揺れた髪の間から怪しく光る。 「いい加減に……んっ……」  怒るアルムの口を唇で塞ぐ。丁寧に丁寧に、とろとろに舌を絡めていく。 「っはぁ……」 「ほら、もっと力抜かないと」  ──ビクッ  クレオの指が触れるか触れないかの絶妙な力加減で、アルムの身体を撫でていく。首筋から鎖骨、乳輪、腰のあたりに来た時に、アルムの力が一瞬抜けた。 「──!」  その一瞬の隙にクレオのものが一気に挿れられる。 「──ぁっ」  声にならない声で喘ぐアルムの髪を、クレオは優しく撫でる。そして身体を密着させ、優しく抱きしめた。 「いいこだね」 「無理矢理、過ぎるだろっ」 「たまには良いだろう? 長く私を待たせた罰だよ」 「それは──!」  その後の台詞は、クレオの腰の動きにかき消される。 「くっ……はっ!」 「はぁっ、あぁっ!」  あぁ、満たされていく──!!  ──穏やかな空気が2人の間を流れている。 「どうぞ」  クレオがアルムにカップ差し出す。淹れたてのコーヒーが湯気を立てていた。 「ありがとう……ごめんな、クレオ。もう少し頻繁に来ることが出来れば良いんだけど」 「君が気にすることはないよ」  クレオは自分の分のコーヒーを「ふーっ」と冷ましながら、ゆっくりと飲む。 「この城で〝天使でない頃の私〟を知るのは、君だけだからね」 「本当にお前、急に城のこんなところに隔離されるんだもんな。苦労したよ、お前に会うために使用人から上り詰めて……」 「したくもない玩具プレイをして?」  悪戯っぽく笑うクレオ。 「……コーヒーかけんぞ」 「ごめんごめん」  両手を体の前に広げて、クレオはすぐに謝る。 「やりたくてやってるわけじゃないが、アレはアレで悪くないから、良しだ! 俺攻める側だしね」 「悪くないんだ……ふーん」 「お前も少しは、気持ち分かるだろ?」 「まぁ……ね」  そう言いつつ、クレオは甘えるようにアルムに身体を絡めた。優しく受け止めるアルム。 「私は君が一番良いけどね」 「……俺も」  すがるように甘えるクレオを胸で受け止めるアルム。 「お前が天使だろうが何だろうが、ずっと[[rb:親友 > ともだち]]だよ、クレオ」 「その言葉、忘れないよ」 ──ちゅ  どちらからともなくキスをする。 「ふっ、もう一回する?」 「おっ、いいね、クレオ」 「アルム……」  こうして秘密の時間は、続いていく──

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