18 / 24

#18 お仕置きは蜜の味

「わざわざお仕置きされに来るとか、カノキ変態」 「ご主人様……」 「可愛いカノキ、こっちへおいで?」 「俺……」  ここはいつものシオンのベッドルーム。  カノキは、ベッドのふちに腰掛けるシオンの前の床に、へたりと座り込んだ。 「何も言わないで良いから、舐めてよ」 「………」  カノキはするするとシオンの服を脱がせると、まだ萎えているものを口に含む。 「んっ……」  じゅぽ、じゅぽ 「ん、だめ、ちゃんと奥まで咥えて」 「あぐっ」  シオンはカノキの頭を乱暴に掴むと、股間に押しつける。 「うぅっ、あっ……」  苦しそうに一生懸命舐めるカノキの目から、涙が溢れてくる。 「へぇ……」  シオンの脳内に一瞬、ミコトの泣き顔がフラッシュバックした。 「君が泣いても、なんとも思わないなぁ」 「んぐっ……」  口の中がいっぱいのカノキは、シオンの言葉を聞くことしか出来ない。 「むしろ……そそるね」 「ん〜、ぷはっ!」  カノキを股間から解放すると、ケホケホと苦しそうに咳をする。涙と唾液で、顔がベトベトだ。 「カノキは、ミコトが好き?」  シオンはカノキの顎に指を這わせ、くいっと持ち上げる。 「正直に言えよ」 「俺は……」 「〝僕〟から目を逸らさないで」  カノキの瞳孔がひらく。シオンのいつもと違う話し方に、驚いているのだ。 「わ、分かりません……」  カノキはまっすぐシオンを見て言う。 「ただ……ミコトを目の前にすると、触れたくなります。大事にしてあげたくなります」 「……ふーん」  ふっとシオンの力がゆるむ。雰囲気もいつも通りに戻っていた。 「それはまるで〝君じゃない〟みたいだね」 「そうですね……こんな汚れてる俺が、好きになって良い相手じゃないです」 「確かに……ねっ!」  カノキの腕を引っ張り上げ、自分の膝に座らせるシオン。 「私にお仕置きされるって聞いて、こんなに準備万端にしてくる、変態だもんね」  くちゃ……  カノキは下着を履いていなかった。服の裾から入り込んだシオンの指が、カノキの穴に触れる。 「私のところへ来る前に、自分でほぐしてきたんだね」 「はい……」  カノキは赤くなって俯く。 「それで、ミコトのことが気になっているカノキは、私に抱かれるのが嫌になった?」 「それはっ……んっ!」  何かを言いかけたカノキの口は、シオンの口で塞がれる。くちゅくちゅとお互い舌を絡ませているうちに、いつの間にか2人はベッドに倒れ込んでいた。 「今日は時間をかけて、丁寧に抱いてあげるよ、カノキ」 「えっ……」  いつも物に当たるように雑に抱かれていたカノキは、意外そうに声をだす。 「カノキがミコトとやりたくても出来ないこと、私がいっぱい身体に刻んであげる」  ちゅ、ちゅぅ……  シオンは、カノキの身体のいたるところにキスを落としていく。シオンの唇が触れるたびに、カノキの身体がびくんとはねる。 「ご主人様……っ」 「もう敬語やめていいよ。いつもの約束、ヤってる時は、敬語なし」 「わかった……今日のご主人様、なんか変だ」  身体が震えるようにビクビクと波打つ。 「あっ……」  シオンは、カノキの全身にある消えかけの、誰につけられたか分からない赤い痕に口付けていた。それに気付いたカノキは、震える声で言う。 「ご主人様っ……そんなことしたらダメだって」 「ダメ……? なんで?」  シオンの唇が、いじわるそうに歪む。 「君がちゃんと〝仕事〟してくれてる証だからね、私が綺麗に上書きしてあげよう」  これからも、ずっと──  ぬぷ……  ゆっくりと、シオンのがカノキのナカに入っていく。焦らすように、じわじわとせめるように。 「ご主人様……ああっ」 「ちゃんと覚えて。私のが入る感覚」 「あっ……はぁっ……」  ぐぐぐっ  ゆっくりと侵入したそれは、やがて奥に辿り着く。 「あぁ……あ!」  カノキの目が見開く。いつもより丁寧にされているせいか、身体が全部敏感で、今までにない快感がゾクゾクと全身を駆け巡る。 「あぁ〜イっちゃった? カノキがドライでイったの初めて見た」 「はぁっ、ああっ」  脱力しているカノキの頭をよしよしと撫でるシオン。そのまま腰を動かしていく。 「んっ……きもちいっ?」 「きもちい、すご……きも、ちい、ごしゅじ、さまっ──!!」  声にならない声で喘ぐカノキ。 「んっ、あっ、すっごい締まってる」  パンパンと肌がぶつかるたびに、2人の声が大きく漏れる。 「イきそう……カノキは?」 「おれもっ、もうむり、ですっ、んっ!」  2人の唇が重なって、激しく舌が絡み合う。  イクッ──!!! 「ふふ……全然起きないな」  シオンは、気絶したように眠っているカノキの頭を、ふわりと撫でて立ち上がった。 「ヤナギも、カノキも、ミコトも……〝僕〟のものじゃないと、嫌だなぁ」  カーテンを少しあけると、もう夜が明け始めていた。 「だって僕、王子だからね、誰にも渡さないよ」

ともだちにシェアしよう!