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第5話
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それから、僕達は同じ幼稚園に通い、同じ小学校、中学へと通った。
アキの家はかなり金持ちだったけど、僕の家もお父さんが小さい会社の社長だったお陰で、アキと同じ私立へ通う事ができた。
お互いの家も近く、自然と一緒に通学するようになった。放課後も一緒に遊ぶ事がほとんどだ。
母親同士も仲が良く、アキと一緒に遊んでいると、2人はいつも温かい目で見守ってくれた。
だけど……………
あの日、公園で起きたような事は、その後も度々起こる事があった。
いつもアキと一緒だったから、危なくなればアキが助けてくれた。僕はいつだってアキに頼ってばかり………。
アキは小さい頃から柔道をしているので力も強く、護身術もばっちりだ。見た目の爽やかさとのギャップが堪らないらしく、女子からは王子様と呼ばれている。
…………本当は僕だけの王子様なのに。
そんな僕は、学校では虐められる事が多い。
見た目が女みたいだからって、女男やオカマ呼ばわりされたり、皮肉っぽく「なっちゃん」と呼ぶ人もいた。
僕もアキみたいにカッコよくなりたい………
護られてばかりではいけないと、僕もアキと同じ柔道教室に通いたいとお母さんにお願いしてみた。
でも、奈津は可愛いから危ない事はダメと、聞き入れてくれなかった。
僕が虐められる度、アキが助けてくれた。
虐められて何も言えなくなった僕の代わりに、暴力ではなく言葉で戦ってくれた。
アキは僕の王子様。僕だけの王子様。
いつしかアキに対する感情が、尊敬や友情だけでなく、独占欲や恋にかわっていった。
アキは、僕の初恋だ………
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