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楽園 6

次の日、タクミは何故かドキドキしなから目を覚ました 早く学校へ行きたかった。 朝練もないのに早起きしてた。 でも、早く行きたいけど、行っても意味ないと悶えながら時計ばかり見ていた。 早く行きたいけど。 早く会いたいけど。 キヨハラはどうせ時間ギリギリに登校してくるし。 そう思って、思ってることを自覚して。 何故かタクミは顔が真っ赤になった。 その意味も分からなかった。 でも。 キヨハラは優しい。 キヨハラはいいヤツ。 そんな言葉を胸の中で繰り返す。 タクミが時計ばかり見てるので、母親は「何?今日は朝練なの?」と尋ねてきたので、「違う」と答えたけれど、何故時計を見るのかを説明出来なかった。 時間が早くすぎて、学校にちょうど良い時間に着きたかったのだ。 そうすれば。 そこにキヨハラがいる。 母親は挙動不信な息子の様子に、肩を竦めて仕事に向かった。 いつも忙しい。 タクミのために頑張っていると知っている。 夜遅くまでずっとずっと働いてくれている。 タクミは母親を見送ると、台所へむかう。 テーブルを片付け、流しに皿を持っていく。 タクミは母親と自分の皿を洗った。 そして、玄関先に置いてたカバンを持ってドアを開けた。 タクミはドアを開けて立ち尽くす。 驚いたことに、家のドアを開けたその先、家のメールボックスの所にキヨハラが、気まずい感じで立っていた。 キヨハラはちょうどインタホーンを鳴らそうととしているところだった。 タクミは目を丸くする。 ずっと キヨハラのことばかり考えていたから。 肩に回されたキヨハラの腕の感触が消え去ることもなくって。 その感触を何度も思い出してたから。 突然、夢想していたキヨハラがそこにいるのは現実感が無さすぎた。 キヨハラはフラフラと玄関から出てきたタクミに、困ったような顔をした。 それは昨日、泣いてるタクミを見た時に見せたあの顔で。 タクミは何故か笑顔になっていて。 そんなタクミの笑顔に今度はキヨハラが何故か固まって立ち尽くす。 「おはよう」 タクミは言った。 声が弾んでしまう。 心配して来てくれたのだと分かったから。 嬉しかった。 キヨハラとのことが、昨日だけの話じゃないことが。 「おはよ」 キヨハラは困ったように言った。 並んで学校へ向かった。 その日から、毎日タクミとキヨハラは一緒に登校するようになった。

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