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楽園 11

「キヨハラ君が早く良くなってねって言ってたよ、大丈夫なのタクミ?」 母親が言う。 丈夫な息子が珍しく寝込んだからだ。 次の日の朝、いつものようにキヨハラが迎えにきてくれたけれど、起きれないタクミは母親に休むことを伝えてもらった。 タクミは寝てる。 熱っぽい。 苦しくはないけど、だるい。 「あんな雨の中動物園に行くから・・・」 母親は呆れるように言ったが、その声は優しかった。 「いつもいつも。あんたは頑張ってくれてるから、たまにはバカでもいいけどね」 母親はタクミのベッドの横にリンゴを剥いて置いていってくれた。 母親はこれから仕事に向かう。 無責任に出ていった父がローンと共に残したこの家を手放さないですんだのは母親がそれだけ稼いたからだ。 母親がどれほど頑張ってくれていたか、タクミは知ってる。 母親はタクミに不自由な思いをさせなかった。 進学だって勧めてくれたけど、タクミは勉強が苦手なので選ばなかっただけだ。 母親に迷惑をかけないようにずっと頑張ってきたけど、今日は寝込んでしまった。 そんなタクミを何故か母親は嬉しそうに世話してくれた。 「良い友達が出来て良かったね」 部屋を出る時、母親が言ってくれた言葉をタクミは繰り返していた。 友達。 友達。 キヨハラのキスを思い出した。 キヨハラの唇。 キヨハラの舌。 あの歯に甘く舌を噛まれて。 自分の唇をなぞり、キヨハラの舌が入ってきた口の中の部分を指で、なぞった。 呻き声が出た。 思い出しただけで、頭の中から溶けていく。 そしてタクミの股間が緩く勃起していた。 タクミは布団の中で自分のそこを握り擦っていた。 キヨハラのキスを思いだし、指で口の中を掻き混ぜながら。 「キヨハラ・・・キヨハラぁ・・・」 繰り返し名前を呼び、口の中を弄りペニスを擦った。 信じられないくらい気持ち良かった。 熱っぽくてだるいのに。 1回では終われなかった。 「好き」 そう言われた声が何度も何度も、耳の中で再生される。 友達。 友達。 違う。 そう思った。 友達を思ってこんなことはしない。 分かってしまって。 分かってしまったから、 「キヨハラ!!キヨハラ!!」 キヨハラの名前を叫んでまたオナニーをした。 好き。 そう思った。 自覚した。 「オレ・・・も。好き・・・」 そう言いながらする射精は脚の先まで震えるくらい気持ち良かった。

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