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楽園12

キヨハラと次の朝、会うのが怖かった。 熱だと言って休もうかと思った。 でも。 会いたくもあった。 でも。 でも。 キヨハラの唇や舌を思い出してオナニーしてしまったことに恥ずかしさを感じてもいた。 なんだかイケナイことをしてしまったような。 でも、当然、そう当たり前にキヨハラは迎えに来た。 「あんたどうしたの?大丈夫?」と母親に不審がられながらも、タクミはキョドりながらキヨハラと一緒に学校へ向かったのだった。 「身体大丈夫?」 キヨハラが心配そうに聞いてきて。 「大丈夫大丈夫ゥ」 緊張し過ぎて変な声が出た。 タクミは真っ赤になる。 大丈夫じゃない。 身体はともなく色んなことが大丈夫じゃない。 キヨハラはそんなタクミにフッと笑った。 その笑顔の優しさに、また心臓がバグる。 キヨハラと黙って二人で歩いていた。 いつも色んな話をしながら歩く道なのに。 ゆっくり歩いているだけなのに、全速力で走ってるみたいに心臓が脈打つ。 心臓が速くなりすぎて胸が痛い。 何か。 何か。 どう言えば。 タクミは混乱し、焦る。 でも。 いつの間にか川原にいた。 キヨハラにキスされた場所に差し掛かったとき。 誰もいない川原だからこそ。 タクミは突然立ち止まり、それにつられて立ち止まったキヨハラに向かって叫んだ。 「オレも好きだ!!」 それはどうかしてるほどの大声で、キヨハラはその声の大きさに思わず後ずさった程だった。 言ってしまって。 真っ赤になる。 でも。 でも。 言わずにはいられなかったのだ。 キヨハラはこのデカさに驚いて、でもその次にその言葉の意味を理解して。 目を見開き。 そして。 「ああ、ホントにもう・・・叶わないな・・・」 そう言って、ゆっくりと笑った。 ああ。 キヨハラの笑顔は。 どうしてこんなに優しいんだろう。 タクミは見惚れてしまう。 キヨハラに抱きしめられていた。 「大好き。大好き。タクミ」 キヨハラが言った。 うん。 そう答えた。 キヨハラの指がタクミの顎を上にむけた。 綺麗なキヨハラの顔。 キヨハラはあの真剣な顔をしていて。 タクミは震えた。 喰われるのだと思った。 そう。 キスされた。 今度はタクミも必死で応えた。 入ってくるキヨハラの舌に自分から舌を絡めにいった。 キヨハラが喉置くで低く、嬉しそうに笑った声した。 でも。 翻弄されるばかりで。 何度も何度も、タクミは身体を震わせた。 口の中でそんなことで気持ち良くなるなんて知らなかった。 初めての時より、感覚は明瞭で。 だからこそ圧倒された。 前日あれほどオナニーしてなかったなら、キスだけで達してしまっていたかもしれない。 それでもキスだけでかるくたちあがりかけてて。 ゆっくり唇が離れた時、タクミはもっと欲しいかのように、キヨハラの唇を無意識に追いかけていた。 「これ以上は、今は、ね?」 キヨハラに囁かれて我にかえった。 遅刻しそうになってた。 二人で慌てて学校へと走った。 タクミは遅刻なんかしたことないからだ 学校に着いたなら、キヨハラはもうタクミに近付かない。 タクミの周りにはタクミの友達がいるから。 キヨハラはタクミ以外の人間関係が欲しくないのだ、と理解していた。 でも。 その日一日。 寂しかった。 いつになく。 帰るまで。 タクミはずっと、キヨハラの存在をレーダーのように追っていた。 キヨハラは。 タクミが好きで。 タクミはキヨハラが好き。 これは。 恋人ってことなのか。 タクミは浮かれていた。 その日一日。 タクミは幸せだった。

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