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楽園 16

その日の帰り道。 いつものキスは。 キスだけですまなかった。 キヨハラは川原の道の木陰にタクミを連れ込んだ。 いつもキスしながら、素肌を熱い手で撫でられるだけだったのにその日は違った。 キスでトロトロになってるタクミは、キヨハラの手がおかしな場所にやってきてるのに気付く。 いつもタクミの背中や腹を撫でる熱い手のひらが、タクミの胸へと上がっていく。 何? と思った。 タクミの胸は男の胸だ。 女の子の柔らかい胸なんてなくて。 いつもキヨハラが女の子の胸をつかみ揉みあげている妄想に傷つきながらオナニーしてる。 でも、タクミにはそんなモノはない。 焦った。 キヨハラの手を退けようとした。 だって、女の子みたいな胸はない。 でも珍しくキヨハラの手は強引だった。 タクミの手を押しのけ、タクミの胸を鷲掴みされた。 タクミの胸は細身だがしっかりとした筋肉に覆われている。 そのタクミの胸をキヨハラは揉みあげる。 そんなの。 変。 これは女の子の胸じゃない タクミはそう思うのだけど、すっかり教え込まれた口の中の気持ちの良いところをキヨハラの舌に責められ、身体を熱いゼリーにされてしまう。 キヨハラのキスの気持ち良さはだらしなく自分から口をあけ、舌を迎えいれるようになるほどに、もう良くわかっていた。 キスに蕩けた身体の、胸をキヨハラが揉みあげた。 熱い手のひらの感触。 キヨハラの指紋や掌紋さえ感じてしまいそうな程に、敏感になった身体は、キヨハラの体温を喜んだ。 「あっ・・・」 キスの隙間にタクミは自分の声を聞く。 手のひらの熱さに喘いでいた。 タクミは真っ赤になった。 そんな声が自分から出ると思わなかったのだ。 女の子みたいな。 気持ち悪い。 キヨハラに引かれる。 タクミは焦った。 キヨハラの手に自分の手を重ねてを止めようとした。 これ以上が怖かった。 変な声とか出て、キヨハラに嫌われるのが。 顔を振ってキヨハラのキスからのがれようとした。 そしてキヨハラの身体をおしのけようとも。 「・・・オレを拒否しないで。タクミ。オレを嫌わないで」 キヨハラがおしのけようとするタクミの手を掴んで言った。 その声の痛切さに。 タクミは動けなくなる。 拒否されたくないのは、 嫌われたくないのは。 タクミこそだから。 動けなくなったタクミの身体を。 キヨハラは樹に押し付けた。 タクミが逃げないように。 「お願い・・・もう少し、もう少しだけ」 キヨハラの声が切なくて。 タクミはキヨハラの唇と指を。 受け入れたのだった。

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