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楽園 26
「キヨハラ。何があった?何かがあったんだろ?」
タクミはキヨハラの手を離さないまま尋ねる。
キヨハラの顔から表情が消える。
そして沈黙する。
キヨハラがタクミに言いたく無いことがあるのは分かっていた。
無理に聞き出すことはどうかと思ってた。
でも。
キヨハラはそれを知るクラスメイトが窓から落ちることも構わないと思っていた。
キヨハラは落ちそうになっているクラスメイトを助けようとしなかったのだ。
「キヨハラ・・・中学の時に何があったんだ?」
タクミはそれでも聞く。
タクミはクラスメイトが落ちてしまうことを確かに心配した。
でもそれ以上に。
それを構わないと思っているキヨハラを心配したのだ。
「キヨハラ・・・心配なんだ」
タクミはキヨハラの手にまた口付ける。
大好きなキヨハラの手。
この手を離すことは考えられなかった。
だからこそ、キヨハラに聞きたかった。
キヨハラの手にキスするタクミの耳に、キヨハラがギリギリと歯を食締める音が聞こえる。
顔を上げるとキヨハラが、タクミをくいいるように見つめ、そして何かに耐えていた。
握っていた手ごと引き寄せられた。
手を乱暴に振り払われ、強引に抱きしめられる。
キヨハラの大きな身体に包み込まれた。
久しぶりのキヨハラの匂いに、陶然としかけて、慌てて手で胸を押す。
今はそれどころじゃない。
だけど、キヨハラはさらに強く抱きしめてきた。
首筋に顔を埋められ、そこにキスされて、思わず身体が震えた。
不意打ちだったからこそ、電流みたいに感じて。
「ダメだ・・・今は話を・・・」
タクミはそれでもキヨハラをおしのけようとした。
でもキヨハラはタクミの首筋を舐め上げ、タクミの股間へと手を伸ばしてきた。
ズボンの上から握られ、タクミは呻き声を上げる。
舌はタクミの耳の裏から鎖骨までの、タクミが弱いところを舐め上げていく。
タクミが好きな力加減で、ズボンの上からタクミのペニスをゆるゆると握られる。
久しぶりの接触に、しかも、タクミが感じることを知り尽くしているかのようなキヨハラの行為に、タクミの身体は喜んでしまう。
キヨハラはタクミの身体をもう理解していた。
キヨハラの舌は熱くて。
指も、ズボンじゃなくて、直接触って欲しくて。
腰が揺れて、唇からは喘ぎ声がでてしまう。
カリッとキヨハラか耳たぶに歯を立てて、やんわり勃ちあがってきているそこを強く握った。
ああっ
タクミは身体を震わせて、キヨハラに抱きついてしまう。
キヨハラの指がズボンのベルトを外し、チャックをおろそうとしていた。
触って欲しいと思った。
でも違う、ともタクミは思う。
「ダメ・・・だ。話・・・を 」
タクミはいう。
必死で。
でも、耳朶を吸われて、下着をずらされ、そこを握られ擦られた。
「ダメじゃないでしょ?」
耳もとで耳朶をかじられながら言われてゾクリとした。
キヨハラの声はいやらしすぎた。
掠れる声が舌や歯と一緒にタクミの耳を犯す。
キヨハラに舐められたり、噛まれたりするまで、耳朶なんてただのパーツでしかなかったのに、もうそこが性的な快感を得る場所だと知った。
それだけでタクミの硬くなったペニスの先から溢れ出すのがわかって、タクミは真っ赤になった。
低くキヨハラが笑って、タクミの耳を齧りながら、タクミのペニスの穴の上を親指で輪を描くように動かす。
濡れた音がする。
「ダメ・・・ああっ、・・・ダメえ・・・だって・・・」
タクミは胸を押して突き放そうとするけれど、力が入らない。
こういう気持ちの良さに逆らえない。
何よりキヨハラを拒絶など出来るはずもない。
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