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楽園 28

崩れ落ちたタクミを、キヨハラはそれでも許さなかった。 冷たいコンクリートの上にヘタリ込むタクミの上にキヨハラはのしかかる。 タクミは激しすぎる快感の残滓に朦朧として震えていた キヨハラは射精したばかりで震えているタクミのペニスを握った。 タクミは高い声を上げる。 達したばかりで敏感になりすぎていた。 逃げるように動くタクミをキヨハラは許さなかった。 「もっと・・・してあげる。もっと気持ち良く・・・」 キヨハラは言った。 そして。 また手を動かし始める。 「ダメ・・・ああっ!!」 タクミは悲鳴をあげた。 イったばかりで敏感になりすぎているのにそんなことをされたなら・・・。 タクミの身体が波打つ。 強烈な感覚にタクミは泣いてて、でも。 あまりにも気持ち良くて。 背中を反り返えらせ、泣き叫ぶタクミをキヨハラが見下ろしている。 「たくさんしてあげる。気持ち良いこといっぱいしてあげる。何でもしてあげる」 キヨハラの声が響く。 「コレ気持ち良い?」 キヨハラが根元を片方の手で締め上げ出せないようにしながら、強弱をつけて擦りあげる。 裏筋を指先でじっとりなぞられ、先の穴を指先先で執拗にいじめられる。 自分で拙く擦り上げるくらいしか知らなかったタクミには何もかもが強烈過ぎた。 「気持ちいいね・・・良いでしょ?いっぱいしてあげる」 キヨハラが言う。 どこまでも優しい声で。 タクミは根元を締め上げられてて出せないのに、身体を痙攣させた。 出したような強烈な快感に怯えた。 ああっ だめぇ ああっ タクミは声を上げてしまう。 なのに腰はカクカクと愚かしい程ゆれていて。 射精出来ないのに射精した感覚、それなのにまだ止めて貰えない。 涎を垂らして喉を反らし、背中を仰け反らせ、タクミは喘ぐ。 キヨハラにされることはタクミの幼い性体験では想像もつかないことで、タクミは泣きながらそれに翻弄されていた。 なんでこんなことが出来る? こんな事、してきた? キヨハラの奔放な性体験がわかる。 キヨハラも女の子にこんなことをされた? それとも男の相手もしてきたのだろうか。 快感の隙間にタクミの意識にそれがよぎり、タクミは目を見開く。 嫌だった。 こんなの。 こんなの。 キヨハラの性体験の結果じゃないか。 「ああ・・・男とも付き合っておけば良かった・・・もっとタクミを気持ち良くさせてやれたのに」 キヨハラの声がして。 タクミはカッとなった。 コイツ。 コイツ。 他の誰かとの行為の結果をオレに使おうとしてる。 キヨハラの顔を睨みつけた。 そしてタクミは怒りより、戸惑う。 キヨハラの顔にあったのは、性欲ではなく、紛れもない恐怖だったからだ。 キヨハラは。 タクミを喘がせ、感じさせているのに。 怯えきっていた。 そこに性欲は見えなかった。 ・・・どういうことだ。 タクミは溺れそうになる、甘くて重い蜜の中から目を覚ます。 だって。 それどころではなかった。 キヨハラが。 キヨハラが怖がっている。 でもキヨハラの手は止まらないから。 タクミの身体は反応してしまうから。 タクミは手を振り切った。 パンッ 高い音がした。 キヨハラの顔が横に思い切り揺れた。 手加減はした、つもりだった。 だが。 タクミの平手打ちは、タクミが思った以上にキヨハラの頬をとらえてしまったようだった。 「タクミ・・・」 キヨハラが口の端から血を流していた。 驚いたようにタクミを見下ろす。 歯で切ってしまったようだ。 タクミは血を流すキヨハラを見て焦った。 そんな。 つもりは。 なかったのだ。

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