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楽園 47

「あの子は私と同じで【支配】の達人だ。楽しむコツさえ分かれば私と同じように楽しむさ」 支配者が笑う。 楽しんできたのだとわかる。 支配して、支配者がくれる僅かばかりの好意や関心のために何でもして人々が狂っていくのを笑いながら見ていたのだとわかる。 「あんたとはキヨハラは違うね」 タクミは言い切る。 キヨハラは違う。 タクミは知っていた。 キヨハラはタクミに近付くことを3年も禁じていたのだ。 それは支配する人間がすることじゃない。 「おやおや。でも、君が私の息子に恋をしたのは、あの子の能力のせいかもしれないよ。タイミングが良すぎなかったかい?君が傷付いた時にあの子は現れなかったかい?支配は傷付いたときに優しくするとやりやすい」 父親の言葉にタクミは黙る。 確かにキヨハラに恋したのは、弱った時に優しくしてくれたからだ。 キヨハラはタクミを欲しいと思ってしまった。 なら、タクミに支配の手管を使わなかったとは言えない。 あれが本当の優しさなのは間違いないとしても。 その優しさをどう最大限に表せば、タクミの気持ちを得れるのかはキヨハラには容易いことだっただろう。 しばらく考えて、タクミはニッコリわらった。 大したことじゃなかったからた 「・・・キヨハラはオレを支配してない。オレはキヨハラのために【何でも】するわけじゃない。それに何より、キヨハラがオレを好きなんだよ。もちろんオレもキヨハラが大好きだけどな。あんたは誰も好きじゃない、キヨハラとは違う。だろ?」 タクミは言い切った。 タクミに逃げられないするために、むしろキヨハラが暴走した。 支配者がすることじゃない。 「そうだね。君は案外つまらないね」 面白く無さそうに父親は言った。 車が止まった。 突然。 運転席助手席から男たちが車の外へ飛び出していくのが音や声でわかる。 男たちの怒鳴り声と、もうひとつの声。 そして。 タクミが座る後部座席の窓から衝撃音がした。 窓ガラスにヒビが走る。 「タクミを返せクソ親父!!」 窓が白くなって見えないが、声でわかる。 キヨハラがドアの外にいた。

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