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楽園58

キヨハラの新しい部屋について、ドアを閉めたとたんにキスされた。 キヨハラは荷物を投げ捨てて。 玄関で、抱きしめられてキスされた。 キスも久しぶりで。 このところキスもしてなかった。 キスしたら止まらなくなるからで。 分かってて、でも久しぶりのキスに夢中になったのはタクミもだった。 「ゴメン・・・がっついてゴメン・・・」 キヨハラはキスの合間にそう言った。 でもキヨハラは止めなかった。 キヨハラが止まらないのだと、タクミも分かって。 でもタクミだって止まらなかったのだ。 キヨハラの舌を夢中でむさぼったのはタクミもで。 甘く舌噛まれて身体を震わせ、キヨハラの舌に自分の舌を絡ませた。 甘く吸われる舌に身悶えて、口蓋を執拗に舌で責められ喘ぎ声を漏らす。 甘く舌を噛まれるのが好き好ぎて、股間でそれが熱になる。 キヨハラの太腿にそれが当たる。 気持ち良くて腰を揺らしてしまう。 すると、キヨハラの硬いモノが腹に擦り付けられる。 熱い唾液を飲み込む。 キヨハラの味。 好き。 好きだと思った。 この男だけは自分のモノだと キヨハラがキスしたままタクミを抱き上げる。 二人は靴さえ脱がずに部屋に入り、キヨハラは何とか部屋の明かりだけはつけた。 そして床にタクミは横たえられた。 キヨハラは呻いた。 ケモノのように。 でも。 服を脱がせる手は急いでいるのに、どこまでも優しくて。 キヨハラは履いたままだった靴もくつ下もタクミから脱がせた。 タクミに何もさせなかった。 それはまるで自分の特権であるかのように。 何も着ていないタクミの上にのしかかり、キヨハラは食い入るようにタクミの身体を見つめていた。 何一つ見逃さないかのように。 タクミが恥ずかしさに真っ赤に身体も顔も染め、身を捩って身体を隠そうとするのを、肩を押さえつけてキヨハラは許さない。 キヨハラは呻く。 息が荒い。 灼けるような目。 タクミは真っ赤な顔のまま、キヨハラのその目を見つめた。 綺麗な綺麗なキヨハラの顔は獰猛な色気を放っていた。 そしてその目には今。 タクミしか映っていなかった。

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