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第4話
太郎は涎 をぬぐう暇もなかった。何しろ、
「最初はグー!」
掛け声に合わせて可憐な乳首が六つ、現れ出 でたるのだ。パーであいこがつづいた日には海綿体に血が集まりすぎて、眩暈に襲われるありさま。いっせのせ、で玉門がべろんちょという状態が繰り返されるわけで、うれし涙が頬を、ガマン汁が和毛 をぬらつかせる。
よりどりみどりとはこのことで、ムスコときたら、ど・れ・に・し・よ・う・か・な、と腹をびたんびたんと叩く。
亀の恩返しは、この世の天国への切符。マジ棚ぼた、と太郎がにまにましどおしだったころ、当の亀は、と言えば。
竜王こと、竜宮楼の楼主にカクカクシカジカと首尾を報告していた。揉み手……もとい、すりすりと揉みひれを交えて。
「ふむふむ。なかなかの上玉をうまいこと騙くらかしてつれてきたやないけ」
「今ごろタイラおよびヒラリンならびに、ほーちゃんが、太郎をせっせと仕込んでおりますです、はい」
竜宮楼とは、実はセレブ御用達の男娼館なのだ。亀はいわばスカウトマンで、有望株を捕獲しては言葉巧みに竜宮楼に放り込む、という任務に当たっている。報酬は歩合制で、今回〝太郎〟で稼いだ手間賃は高級食材のタカアシガニが十杯と、まずまずの実入りだ。
さて、場面は広間に戻る。
「やったぁ、ほーちゃんが勝ちました! では僭越ながら子種の濃度を測っちゃうよ」
楽しい予感しかしない宣言を聞いて、太郎の胸は高鳴った。ほーちゃんが、こちらの股ぐらに顔を伏せるさまに生唾ごっくんの直後、
「う、ひょおおおおおお……っ!」
関節の、可動域の限界に挑むほど躰が弓なりに反った。ちゅばちゅば、れろれろ、じゅぽじゅぽ。すぼめた唇で根元を、縦横 に蠢く舌で裏筋を、喉ちんこで穂先を同時進行であやされる。しかもダ〇〇ンの掃除機ばりの吸引力で。
得意技と豪語するのも道理。ほーちゃんの「ぱっくんちょ」は神の域に達している。
パッキンがゆるんだ蛇口のように、とめどなく蜜がしみ出し、すすり取られるたび8の字を描いて腰が跳ねる。匠 の技に翻弄されて、あっという間にはち切れそうになった。
「ヤバい、射精 そう……ちょっとタンマ、射精ちまう、おかあちゃーん!」
「がんばれー、先走りが管 の中で沸騰するくらい我慢した先に栄光が待ってる!」
餅をつくさい捏ねる役を務めるように、タイラとヒラリンが頃合いを見計らって花芯をめくってみせる。腹ぺこの犬が背伸びしても届かない位置に肉の塊をぶら下げるようなやり方だが、イジメではない、ちゃんとした理由があってのこと。
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