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第13話

 わてもチュウチュウしたい、順番を守らんかい、というふうに吸盤が押し合いへし合い乳首にかぶさってくると、 「ん、あ、タコの分際で多彩な技を駆使して俺を翻弄するとは生意気ぃ……ぁ、あっ!」  小節のきかせぐあいが命の演歌さながら、よがり声にエコーがかかる。タコがほくほく顔(?)で住み()の壺に戻るころには、赤い二重丸の痕がたくましい胸にちりばめられていた。  一躍、スターダムにのしあがった乳首。良質の子種を分泌する。無限のパワーを秘める陽根。牡蠣(かき)の殻を粉砕してのける、至高の締まりぐあいを誇る後孔。  かくして宝の持ち腐れ的な童貞およびバックヴァージンを卒業したい、が口癖の一介の漁師が、あにはからんや掘り出し物の逸材であるとのお墨付きを得た。 「楼を借り切って乱交パーティーで組んずほぐれつハッスル、ハッスルの太客からぼったくる予行演習みたいな? よって最終審査は男娼仲間の結束を強める汽車ポッポ」  タイラが厳かに宣言したのを受けて、ほーちゃんとヒラリンともども縦一列に並んだ。そしてタイラがヒラリンの玉門に、ヒラリンがほーちゃんの玉門に、それぞれ花茎をてきぱきとえぐり込んで、 「三両編成、完成~!」  とあるボーカル&ダンスグループの振り付けを真似て腰をぐるんぐるん回した。 「大人数だと輪っか連結ができて、花吹雪の中のパレードみたいに華やかな眺めなんだ……あぁん」    三秘処一体となって睦むのは、なるほど絆を深めるのにもってこいだ。ひとりがピストン運動を行うと、ほかのふたりに甘やかな振動が伝わる仕組みは効率的な面でも(すぐ)れている。ズッコンバッコン、ぐぷぐぷ、と玉門と花茎による三重奏は天上の調べにも引けを取らない。  ただ車輛が奇数の、この場合は花茎と玉門がひとつずつ余る計算だ。 「あっ、ひぃん、んん、太郎ちゃんもおいで、つながってえ」 「ほーちゃんの、おちんぽがあぶれちゃって可哀想だろ? 今ならハメ放題、先頭車輛……もとい機関車のポジションを任せる」  花茎をヌンチャクに見立てて、ぷるんぷるん。そんな、あざと可愛いパフォーマンスを交えて誘いかけてくる。  太郎は小舟を(もや)うように、隙あらば駆けだしたがる足を必死こいて押さえつけた。これが竜宮楼に到着したばかりのころなら、一も二もなく混ざりにいっていたはず。ムスコはパオ~ンと咆哮するよう、内壁はバッチ来いとさざめいているから、なおさら。  だが仮にも恋する男子たる者、越えてはならない一線がある。鼻先にぶら下げられた人参にかぶりつくような真似をしたせいで、ちぎれる寸前にある運命の赤い糸をワイヤーで補強したい現在(いま)、操を捧げたい相手はこの世で乙夜ただひとり。  さらって逃げる、と豪語するそばから誓いを破ったくせして虫のいい話だ。それでも、もしも過ちを償う機会を与えてもらえるなら、今度こそ愛の新天地をめざして、手をたずさえて旅立ちたい。

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