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第3話:神様のバカ野郎
「……頭痛い」
カーテンの隙間から差し込む容赦のない日光に照らされ、重い瞼を開いた。
割れるように頭がガンガンするし、気持ちが悪い。
「…………」
見上げる天井は、明らかに俺の家の天井ではない。
ふと、恐る恐る隣を見てみた。
「あ、起きた?」
「………」
待てよ。この光景、どこかで見た事があるぞ。
――――そうだ。大仏だ。寝そべっている大仏。まさにその格好で俺を見つめる男とバチリと目が合い、俺はもう一度天井を見上げて目を閉じた。
そして神様に語りかけようじゃないか。
(――――――っ神様のバカ野郎‼︎‼︎‼︎)
どうして俺ってやつはあんだけ飲んだのに…しこたま飲んだのに記憶のひとかけらも飛ばしてないんだ。
あんだけ昨日の事は忘れたいってお願いしたのに‼︎
「……えーーーっと……あーー…」
「ん?」
よし、覚えてないと言おう。俺が泥酔してたのなんてこの人もわかりきってるだろうし…そうだむしろそれしかない。俺達は間違いを犯したんだ。酒の勢いに任せて抱き合うなんて。しかも男同士で…
「ゴメンナサイ、ココハドコデスカ」
「なんでカタコト?」
くっそ!テンパリすぎた!
「あ、や…えっと…」
落ち着け俺。まずは誠意を持って謝罪と、状況説明を…
覚えてるなんて恥ずかしくて絶対言えない無理。
「すみません…あの、俺ちょっと記憶がなくて…って、えっ⁉︎」
上半身を起こした瞬間、自分が全裸なのに気づく。
そして蘇る昨夜の情事。
「ーーーーあっ、あのですねっ‼︎」
女みたいにシーツで体を覆い隠し、距離を取ってはみたものの、相変わらず隣でおすまし顔で俺を見つめる謎の男。
「お、お、おお俺その、昨日……結構酔ってたみたいで、ど、どうしてこんな事になってるのかさっぱり…あははは…はは…」
「…………」
恥ずかしさで一気に顔が火照るのがわかる。
とにかく早く、一刻も早くここから立ち去らないと。
「し、失礼しました…あの、ほんとごめんなさ――――」
「ほんとに覚えてないの?」
「ふぇっ?」
逃げ出そうとベッドから降りようとした時、腕を掴まれ後ろに引っ張られた。
大きな影に覆われ、見上げた先で、謎の男が俺を見下ろしている。
「あ、え?…え?…」
「忘れるくらいめちゃくちゃにしてほしいって言ったの、そっちなんだけど?」
「ーーー‼︎」
その言葉と同時に、俺は男に唇を奪われてしまった。
「ーーーはっ?……え?」
心臓が跳ね上がる。
男は動揺する俺を見て怪しく笑った。
「思い出すためにもっかい、する?」
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